特殊詐欺被害防止に向けた対策案  拡大する特殊詐欺等の被害を防止するため、現在、エイティエム操作時における携帯電話での通話禁止、金融機関による不自然な入出金の通報、ポサカード販売店における購入時の目的確認、高齢者口座への振込限度額の設定、犯行に利用された店舗、エイティエム設置場所を公表するといった対策を検討している。 エイティエム操作時における携帯電話の通話禁止義務化  事務局としては、被害の九割以上が無人エイティエムであること、被害者の約八十五パーセントが六十五歳以上の高齢者であり、だまされている状態で被害者本人が被害を防止することは困難であるため、水際対策が重要になる。  エイティエムの設置管理者に対し、操作時の携帯電話の通話禁止を義務化できれば被害防止に効果的だと考える。  主要論点は四点あり、携帯電話通話禁止の影響、エイティエムの設置管理者で携帯電話の通話を禁止できるか、通話禁止の対象を高齢者に限定できるか、実現性、実効性が確保できる手法の検討である。  一点目は携帯電話通話禁止の影響についてである。現地調査により、エイティエム操作時に携帯電話で通話する人は、二千三百七十三人中四十三人の一.八パーセントであり、六十五歳以上の高齢者では二百二十三人中四人の一.七パーセントであった。また高齢者で通話をすると回答した四人の通話内容は、一名が振込・入出金に関するものと答え、非常に少ないことから、通話を禁止しても大きな不利益は生じないと思われる。  二点目のエイティエムの設置管理者で携帯電話の通話を禁止できるかについてである。通話を強制的に止めることはトラブル等が懸念され、現実的に難しいと思われるが、通話禁止をルール化し、そのルールを周知することは可能ではないかと考えており、方向性としてエイティエムの設置管理者によるルール化とその周知により、通話禁止を社会の常識とできないかという点で検討してもらう。  三点目の通話禁止の対象を高齢者に限定できるかについてである。金融機関側からは、エイティエム利用時にキャッシュカード等でリアルタイムで判定することはできないとのことであったが、高齢者に通話禁止であることを周知することで、高齢者自身が対象者かを判断することは可能であると考えられることから、エイティエム設置管理者が年齢を判定しなくても、通話禁止を高齢者に限定することは可能であると考えている。  四点目の実効性が確保できる手法の検討についてである。エイティエムの設置管理者には、チラシポスターの掲示、現金袋への表示、エイティエム足元の錯視シートの設置、デジタルサイネージによる啓発、エイティエム操作時の警告画面表示、店内放送による注意喚起、人感センサーによる音声警告、無人店舗エイティエムの利用制限、エイティエム前のモバイル電波遮断、カメラによるモニター確認、エイアイカメラを利用した警告、警備員の配置といった通話禁止に向けた手法案で、実効性の高いと思われる、チラシポスターの掲示等に加え、導入コスト等も勘案しながら対応可能な手法の実施をお願いしたいと考えている。 不自然な入出金の通報義務化  事務局としては、不自然な入出金があった場合、金融機関から警察への通報を義務化できれば被害の拡大防止につながると考えているが、具体例については、金融機関の規模、取引内容等が様々であることや、犯人にも認知されること等から一律の基準を設けることは適当でないと考える。  主要論点は、金融機関の業務負担であるが、国の総合対策や金融庁からの要請等も踏まえて、金融機関への協力をお願いしたいと考えている。 プリペイド型電子マネー販売時の確認義務化  事務局としては、特殊詐欺で二番目に多い架空料金請求詐欺のうち、プリペイド型電子マネーによるものが七割以上を占め、購入先はコンビニが九十九パーセントである。  水際となるコンビニ等での対策が重要になるが、利用目的の確認により、客とのトラブルが懸念される。このためフローチャート等を活用した確認の義務化を考えている。  主要論点は、実効性が確保できる確認手法についてで、岩手県警察とコンビニエンスストアとの連携事例等を参考にしながら検討していく。 高齢者のエイティエム振込制限義務化  事務局としては、エイティエムにおける一回あたりの振込被害額は、限度額を超えない四十九万円前後、九十九万円前後等が多いため、可能な限りエイティエムの振込限度額や回数を引き下げることは、被害防止、軽減につながると考える。  主要論点は、金融機関の協力による具体的な限度額、回数についてで、引き下げ事例等を参考にしながら検討していく。  被害エイティエム設置場所、被害店舗の公表  事務局としては、犯人はあらかじめ被害者の自宅近くのエイティエムやコンビニを設定して被害者を誘導している。被害場所の公表により、住民への注意喚起効果はあるものの風評被害も懸念されることから、具体的な公表範囲については検討が必要である。  主要論点は、具体的な公表範囲についてである。金融機関アンケートより、被害場所となっている銀行の対策が取りやすくなる等といった肯定意見や、公表することで犯人側から狙われる可能性がある等といった否定意見がある。