エイティエム操作時における携帯電話での通話禁止について  現行条例では、第二十条に特殊詐欺の根絶に向けた府民及び事業者等の努力義務が規定されており、その内容は次のとおりである。  第一項府民は、特殊詐欺に関する知識及び理解を深め、府及び市町村が実施する特殊詐欺の根絶に向けた施策に協力するよう努めるものとする。  第二項事業者は、特殊詐欺に関する知識及び理解を深めるとともに、府及び市町村が実施する特殊詐欺の根絶に向けた施策並びに府民、事業者及びこれらの者が組織する団体が実施する特殊詐欺の根絶に向けた自主的な活動に協力するよう努めるものとする。  第三項事業者は、特殊詐欺の犯行の態様に鑑み、犯行手段として利用され、又は利用されるおそれがある商品等の流通及び役務の提供に際し、特殊詐欺の手段に利用されないための措置を講ずるよう努めるものとする。  次に現状の取組であるが、令和四年からストップエイティエムでの携帯電話運動を実施し、エイティエムでの通話をしない、させないための取組を行っている。被害状況については、令和五年中の還付金詐欺の認知件数及び被害額は、共に全国ワースト一で、九百四十八件、九億六千四百八十五万円となっている。  令和六年八月末現在の還付金詐欺の認知件数は、前年同期比で三十三パーセント増加の八百三十五件、被害額は前年同期比で八十五パーセント増加の十一億三千四百十四万円となっている。  なお、府下の還付金詐欺被害額の最多は、令和四年の十億三千八百七十四万円で、既に上回っている状況にある。  次に条例改正の方向性と論点であるが三点ある。  一点目は、現行条例においても、府や市町村の施策に協力をする努力義務、特殊詐欺の手段に利用されないための措置を講ずる事業者による努力義務が規定されているが、特殊詐欺被害は増加している現状にある点である。  事務局としては、現状を踏まえるとより一歩踏み込んだ対策が必要であり、個別の条項として再度、努力義務化を規定するのではなく、府民及び事業者に対する義務化が必要ではないかと考える。  二点目は、社会のコンセンサス化を目指すのであれば、年齢の制限を設けない方がいいとの考えもあるが、現状として還付金詐欺の被害者のうち九十三パーセントが高齢者という点である。  事務局としては、事業者において年齢の判別が難しいとの意見が出ているが、六十五歳以上の高齢者の被害が多くの割合を占めている被害実態と、六十五歳の府民に義務を認識してもらうことにも意義があるため、六十五歳以上の高齢者に対象を絞るべきではないかと考える。  三点目は、金融機関ごとに可能な対策が異なる点である。  事務局としては、指針において金融機関が講ずべき措置等を定め、金融機関ごとに対策可能なものから実施することは可能ではないかと考える。また、たとえ特殊詐欺被害が全体の取引のうち、ごく少数であったとしても、数十億円規模の被害が出ている以上、預金者保護のために一定の設備投資は必要ではないかと考える。 不自然な入出金に対する金融機関からの通報について  現行条例では、第二十一条に特殊詐欺に関する通報等が規定されており、その内容は次の通りである。  第一項府民は、次の各号のいずれかに該当する場合には、警察官に通報するよう努めるものとする。  第一号その言動から特殊詐欺の被害に遭うおそれがある者を発見したとき。  第二号自己又は家族、親族、近隣住民その他の者が、特殊詐欺と疑われる電話、郵便物等を受けたとき。  第二項事業者は、特殊詐欺の犯行の態様に鑑み、犯行手段として利用され、又は利用されるおそれがある商品等の流通及び役務の提供に際し、特殊詐欺の被害に遭うおそれがある者を発見したときは警察官に通報するとともに、特殊詐欺の被害の防止を図るため当該被害に遭うおそれがある者の注意を喚起し、特殊詐欺を行っていると思われる者を発見したときは警察官に通報するよう努めるものとする。  次に、現状の取組と背景であるが、疑わしい取引の届け出について犯罪収益移転防止法での規定に基づき、金融機関等において顧客属性や取引状況等総合的に判断して届け出をしている状況であり、特殊詐欺被害の疑いのある取引についても、各金融機関が顧客に確認をする等の取組を行っている。また、本年八月に金融庁及び警察庁からも要請文が発出され、モニタリングにより詐欺のおそれが高いと判断される取引を検知した場合には、管轄する都道府県警察へ必要な情報を迅速に提供することと示されている。  次に方向性と論点であるが、各金融機関ごとに、取扱口座数やモニタリング等の各種システムが異なることから、金融機関全体で一律の通報基準を設けることは現実的ではないという点である。  事務局としては、警察から各金融機関に対して、特殊詐欺の手口や被害状況等の特殊詐欺の被害に遭っているおそれがある取引に関する情報を提供し、金融機関は特殊詐欺等の被害に遭うおそれがある取引を認知した場合に、通報してもらうことはできないかと考える。 プリペイド型電子マネー販売時の購入目的確認について  現行条例では、前述のとおり、第二十条で特殊詐欺の根絶に向けた府民及び事業者等の努力義務が定められている。  現状の取組は、コンビニエンスストア等において、警察等からの啓発資料等を活用し、プリペイド型電子マネー購入者に対して、声かけその他被害防止対策を実施し、数多く未然防止をしていただいている。  しかし、令和五年中の府下の架空料金請求詐欺の認知件数は全国ワースト一の七百一件であり、被害額は全国ワースト二の十億四千五百七十七万円となっている。令和六年八月末現在では、認知件数は四百五十六件と前年同期比では五パーセント減少しているものの、被害額は八億七百九十四万円と前年同期比で十七パーセント増加しているところである。  条例改正の方向性と論点は、三点ある。  一点目は、現行条例において、事業者は特殊詐欺の手段に利用されないための措置を講じるとの努力義務規定があり、各事業者において積極的に声かけなどを実施していただいているが、被害額では、過去最多となった昨年を上回るペースで被害が発生している点である。  事務局としては、より踏み込んだ内容が必要であり、現在の努力義務ではなく府民及び事業者に対する義務化が必要ではないかと考える。  二点目は、一定数のトラブルが発生していることや、混雑時に他のお客に支障が生じる点である。  事務局としては、例えば府民に対しても確認に対しての義務を課して周知することや、確認する対象を高額購入者に限定することで、トラブルを減らすことや業務への支障は回避できるのではないかと考える。  三点目は、良好な取組をした事業者を褒める方がいいのではないかという点である。  事務局としては、未然防止等を行っていただいた事業者に対しては、現在も感謝状の贈呈、マスコミに対する広報、ウェブサイトへの掲載などを行っているがそれらに加えて、優良事業者に対し、より積極的に公表することを検討している。  具体的な確認方法の案については、大阪府警が作成している現行のチェックシートの活用や、マルバツ表記を使った他のチェックシートを活用することである。 高齢者の口座からの振込制限設定について  本件についても、現行条例では、前述のとおり、第二十条で特殊詐欺の根絶に向けた府民及び事業者等の努力義務が定められている。  現状の取組は、地方銀行や信用金庫等を中心に顧客の年齢や振込実績に基づいた振込限度額の引き下げを行ってくれており、振込限度額を引き下げることで被害額が減少している実績がある。  しかし、被害の状況として、令和五年中の還付金詐欺被害は全国ワースト一の九百四十八件、九億六千四百八十五万円となっている。また令和六年八月末現在の還付金詐欺被害は前年同期比三十三パーセント増加の八百三十五件、被害額は前年同期比八十五パーセント増加の十一億三千四百十四万円となっている。  条例改正の方向性と論点は二点ある。  一点目は、国の総合対策に基づき、警察庁と全国銀行協会で慎重に議論を行っており、国レベルの協議が終了するまで待つべきではないか、という点である。  事務局としては、本年八月末時点で、大阪府下で毎日一千五百九十万円の被害となっており、そこに類似のエスエヌエス型投資ロマンス詐欺を含めると毎日四千八百五十六万円の被害が発生している危機的な状況にある。各都道府県において発生状況も大きく異なる現状で、国レベルでの協議には相応に時間を要するものと思われるが、大阪はそれを待てる状況にないため、全国に先駆けた対策が必要と考える。  二点目は、一律に制限をかければ窓口に長蛇の列ができて、業務に支障が出るおそれがある、という点である。  事務局としては、過去三年以上振込実績のない高齢者などに限定し必要最小限度にとどめることで、業務への支障は回避できるのではないかと考える。  また、金融機関が一律に制限をかけることも効果があると思われるが、それを待てる状況ではない以上、各金融機関ごとにできる範囲で早期に引き下げを行うことも重要であると考える。更に都市銀行における一日の振込限度額は高く、高額な被害が出ている現状もあるので特に大幅な引き下げを行ってもらいたい。自主的に引き下げができるのであれば、条例改正を待たずに引き下げ措置をしてくれると、より早く被害抑止を図ることができると考える。 府民の自主防犯行動を促進するための情報発信について  現行条例の第十九条にて、特殊詐欺の根絶に向けた施策の推進が規定されており、第二項に、府は、市町村と連携して、府民及び事業者に対し、特殊詐欺の被害の防止に必要な広報、啓発等の活動を行うものとする、と規定している。  現状の取組は、府や警察において各種資料の作成、ウェブサイトやエスエヌエス等を活用した広報啓発、安まちメールを活用した迅速な注意喚起、事業者が特殊詐欺被害未然防止に貢献した際の感謝状の贈呈、マスコミ報道、各警察署ウェブサイトでの公表等を実施している。  今後の取組としては、安まちメールや警察のウェブサイト、防犯速報等の各種媒体を活用し、速やかに情報を発信する。また、特殊詐欺対策における優良事業者に対しては、警察等のウェブサイトを活用して公表を行うことを検討している。  条例改正の方向性と論点については、個別の店舗名を出せば誹謗中傷の可能性があり、被害店舗には個別に発生状況を教えてくれればいいのではないか、また積極的に特殊詐欺被害防止対策に取り組んでいる事業者を公表すればいいのではないか、という点である。  事務局としては、個別の被害店舗名を出さず、およその被害場所や無人状態のエイティエムで被害が発生している現状を周知するために安まちメールを送信する。また、事業者に対しては既に個別に発生状況を伝えており、被害防止に貢献した際には表彰や公表を行っているが、今後は被害防止優良事業者などとしてウェブサイトに公表することの検討を考えている。