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外交官等に準じた特権・免除等を定めた「日本国政府と国際熱帯木材機関との間の本部協定」について

昭和63年11月21日
例規(捜共)第54号

最近改正
平成27年5月29日例規(少)第62号

「日本国政府と国際熱帯木材機関との間の本部協定」(以下「協定」という。)が、昭和63年2月27日に署名され、同年5月27日、協定を受諾する公文が交換されたことにより、同日から発効したので、次の諸点に留意して職務の執行に誤りのないようにされたい。

第1 国際熱帯木材機関の概要

国際熱帯木材機関(以下「機関」という。)は、1983年国連貿易開発会議主催の国際熱帯木材会議において、熱帯木材に関する開発協力を目的とする国際熱帯木材協定が採択され、同協定により設立された国際政府間機関である。
なお、この機関は、昭和61年11月1日国際機関の本部としては、我が国で初めてその事務局を横浜市に開設し、既にその業務を行つているものである。

第2 協定締結の趣旨

協定は、機関がその本部において十分かつ能率的に任務を遂行することができるようにするため、機関並びにその職員、専門家及び加盟国の代表(以下「職員等」という。)の地位、特権及び免除を定めたものであり、これにより機関及びその職員等は、在日外国公館及びその構成員と同等又はこれに準じた不可侵権等の特権及び免除を享有することとなつたことから、犯罪捜査、交通取締り等の警察運営に深くかかわりを持つこととなつたものである。
なお、協定の全文は、別添1のとおりである。

第3 協定における特権及び免除の概要

1 機関の特権及び免除

(1) 機関の文書の不可侵(協定第3条)

機関が所有し、又は保管するすべての記録、親書、書類、原稿、写真、フィルム及び記録物は不可侵とされる。

(2) 機関の施設の不可侵等(協定第4条)

ア 機関の施設(機関の公的目的のために使用される建物又はその一部及びこれに附属する土地をいい、機関が使用する間の会議施設を含む。)内には、機関の事務局長(以下「事務局長」という。)の同意があり、かつ、事務局長が合意した条件による場合又は事務局長の要請がある場合を除くほかは、公務の遂行のために当該施設内に立ち入ることはできない。ただし、迅速な防護措置を要する緊急事件の場合には、事務局長の同意があつたものとみなされる。
なお、この「緊急事件の場合」とは、災害、事故、犯罪等により生命、身体又は財産が危険にさらされているような場合をいう。
イ 機関は、我が国の法令に基づく逮捕を逃れている者等が機関の施設を避難所として使用することを認めてはならない。
なお、この「逮捕」とは、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)による逮捕、勾引、勾留、収容をはじめ、少年院法(平成26年法律第58号)又は少年鑑別所法(平成26年法律第59号)による連戻し、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)による収容等を含むものである。
ウ 前記イの逮捕を逃れている者等が機関の施設内に立ち入つた場合で、急速を要するときは、事務局長の同意を得、かつ、事務局長の合意した条件に従つて捜索を行うことができる。
エ 事務局長(日本国民である者及び日本国に通常居住する者を除く。)を除く職員等の個人的住居は不可侵権を有しない。

(3) 訴訟手続の免除等(協定第7条)

機関は、自己が免除を明示的に放棄した場合を除き、あらゆる形式の訴訟手続の免除を享有する。また、機関の財産及び資産は、所在地及び占有者のいかんを問わず、事務局長の同意があり、かつ、事務局長が合意した条件による場合を除き、捜索、押収、没収その他の形式の干渉を免除される。ただし、機関が所有し、又は機関のために運行される自動車に係る交通犯罪(道路交通法(昭和35年法律第105号)第8章の罪及び自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年法律第86号)第2条から第6条までの罪がこれに該当する。以下同じ。)等に関しては、これらの免除が与えられない。

(4) 通信の秘密等(協定第10条)

機関又は本部に所属する職員あてのすべての公用通信及び機関が発出するすべての公用通信については、伝達の手段又は形態のいかんを問わず、検閲その他いかなる形態の妨害又は秘密の侵害も行つてはならない。ただし、公用のものと思われる通信が違法な物又は危険物を含んでいると信ずるに足りる合理的な理由がある場合には、その通信は機関の職員の立会いの下に開くことができる。
なお、これらの物が急迫した物理的な危険を及ぼすと認められる場合には、機関の職員の立会いを要しない。

2 機関の職員等の特権及び免除

(1) 加盟国の代表(協定第12条)

加盟国の代表(日本国政府の代表及び日本国民である者を除く。)は、その任務の遂行中及び会合地への往復の旅行中、身柄の逮捕又は抑留及び手荷物の押収の免除、公的資格で行つた行動に関する訴訟手続の免除(自動車に係る交通犯罪等に関するものを除く。)、公用文書の不可侵並びにその他の特権及び免除を享有する。

(2) 事務局長(協定第13条)

事務局長(日本国民である者及び日本国に通常居住している者を除く。)は、機関の職員の享有する特権及び免除のほか、外交官に与えられている特権及び免除を享有する。

(3) 機関の職員(協定第14条)

機関の職員は、公的資格で行つた行動に関する訴訟手続の免除(自動車に係る交通犯罪等に関するものを除く。)、公用文書の不可侵並びにその他の特権及び免除を享有する。

(4) 機関の専門家(協定第15条)

機関の専門家は、任務の遂行上行つた行動に関する訴訟手続の免除(自動車に係る交通犯罪等に関するものを除く。)、公用文書の不可侵並びにその他の特権及び免除を享有する。

第4 留意事項

1 適正な職務執行

犯罪捜査等の職務の遂行に当たつては、前記第3の特権及び免除を侵害することのないよう注意するとともに、機関の任務の円滑かつ効果的な遂行に支障を及ぼすことのないよう適正な処理に努めること。

2 保護、犯罪の制止等

加盟国の代表又は事務局長、機関の職員若しくは専門家を保護し、又はこれらの者が犯罪を行うことを防止するため、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)、酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律(昭和36年法律第103号)等に基づき、一時的に身体を拘束することは許されることに留意すること。

3 身分証明書の確認

日本国政府は、機関からその職員等の任命について通告を受けるまでは、この協定に基づく特権及び免除を与える義務を負わないが、通告を受けたときは、当該職員等にその写真を添付した身分証明書(別添2参照)を交付することとなつているので、職務の執行に当たつては、この身分証明書を確認すること。