大阪府警察ヤミ金融事犯対策推進要綱の制定について
平成21年12月25日
例規(生経・府民・生総・捜四・組本)第94号
最近改正
平成29年3月27日例規(生経)第26号
この度、別記のとおり大阪府警察ヤミ金融事犯対策推進要綱を制定し、平成22年1月1日から実施することとしたので、適切に運用されたい。
別記
大阪府警察ヤミ金融事犯対策推進要綱
第1 趣旨
この要綱は、ヤミ金融事犯の被害が府民の生活をはじめ社会に対して大きな影響を及ぼすこと及びヤミ金融事犯の広域化・巧妙化の傾向が顕著になっていることにかんがみ、大阪府警察が関係機関・団体と協力した上で、その総合力を発揮して、ヤミ金融業者のまん延を阻止し、これに関与する犯罪組織の壊滅を図るとともに、ヤミ金融事犯を根絶する社会環境づくりを効果的に推進することを目的とする。
第2 定義
この要綱において、次に掲げる用語の意義は、それぞれに定めるところによる。
(1)ヤミ金融事犯 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和29年法律第195号。以下「出資法」という。)第5条第1項から第3項までに規定する高金利の処罰、貸金業法(昭和58年法律第32号)第11条に規定する無登録営業等の禁止及び第21条に規定する取立て行為の規制違反並びに貸金業に関連した詐欺、暴行、脅迫等に係る事犯をいう。
(2)ヤミ金融業者 貸金業法第3条の規定による登録を受けずに貸金業を行う者又は出資法第5条第2項及び第3項に規定する高金利の処罰に該当する貸付等を業として行う者をいう。
第3 取締りの重点
1 高金利貸付けの契約、当該契約による返済金の受領及び支払要求並びに無登録営業等の禁止に係る違反
2 取立て行為の規制違反及び取立て行為に関連した暴行、脅迫等の刑法犯
第4 対策推進本部の設置
警察本部にヤミ金融事犯対策推進本部(以下「対策推進本部」という。)を設置する。
1 任務
対策推進本部は、ヤミ金融事犯に係る情報を集約し、及び分析し、当該ヤミ金融事犯に対する初動措置、捜査その他の措置を行うことを任務とする。
2 構成
(1)対策推進本部は、本部長、副本部長、幕僚、班長及び班員をもって構成する。
(2)対策推進本部の編成は、別表のとおりとする。
3 運営
(1)本部長は、対策推進本部の事務を総括する。
(2)副本部長は、対策推進本部の設置及び運営に関し、本部長を総括的に補佐する。
(3)幕僚は、本部長及び副本部長の命を受け、対策推進本部の事務を推進するほか、対策推進本部の事務について調整を行う。
(4)班長及び班員は、部門間の連携に配意しつつ、それぞれの所掌事務に係る措置を行う。
4 庶務
対策推進本部の庶務は、生活経済課において行う。
第5 捜査の推進
1 情報収集活動の推進
(1)部門間の連携を強化し、ヤミ金融事犯に関する情報の組織的収集活動の推進を図ること。
(2)インターネットによる広告、ビラ等からの情報収集を図ること。
2 迅速な捜査の推進
預貯金口座の取引状況及び携帯電話の通話状況等の捜査から、被疑者等の特定を行い、早期に事件の着手ができるよう努めること。
3 法令を多角的に適用した捜査の推進
ヤミ金融事犯を把握した場合は、あらゆる観点から検討を加え、違法事案を究明し、出資法及び貸金業法に限らず、刑法(明治40年法律第45号)、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号)、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)等、法令を多角的に適用した捜査を推進すること。
4 共・合同捜査の推進
債務者が多数に及ぶ事犯又は広域にわたる事犯を捜査する場合は、関係所属間の共同捜査又は合同捜査を行い効率的な捜査の推進に努めること。
第6 関係機関・団体との連携の強化
1 対策推進本部においては、大阪府が設置する大阪府多重債務者対策協議会等、関係機関・団体との連携を強化し、ヤミ金融事犯に関する情報の入手に努めるとともに、被害防止等の広報啓発活動等を推進すること。
2 警察署においては、対応する各自治体と協力し、ヤミ金融事犯対策に関する被害防止活動を実施する等、各種活動の活性化を推進すること。
第7 債務者等対策の推進
1 債務者等への適切な対応
警察に対する相談、苦情及び取締要望については、債務者、家族及び近隣者等(以下「債務者等」という。)の心情に配意しつつ、訴えを誠実に聴取するとともに、ヤミ金融事犯の特性、当該事案の背景等を適切に判断し、債務者等の精神的負担を軽減するため、継続的な指導及び助言を行うこと。
2 ヤミ金融業者に対する対応
債務者等に被害が及ぶおそれがある場合は、捜査の推進状況等を勘案して、ヤミ金融業者に対する警告、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(平成19年法律第133号)第3条の規定による預金口座等に係る取引の停止等の措置の依頼並びに携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(平成17年法律第31号)第8条の規定による契約者確認の求め及び同法第11条第5号の規定による携帯音声通信役務等の提供の拒否の依頼を行い、ヤミ金融業者による被害の防止を図ること。
第8 対策推進本部との連携
警察署においては、対策推進本部との緊密な連携を図り、取締り等の諸対策を推進すること。
第9 教養
迅速かつ適切な事件処理、捜査能力の向上及び具体的な情報の入手を図るため、債務者等からの相談受理時における対応要領及び取締りに関する法令の解釈等について教養を実施すること。
第10 報告
ヤミ金融事犯に係る相談を受理したときは、大阪府警察広聴相談取扱規程(平成13年訓令第21号)に定めるところにより適切に処理するとともに、ヤミ金融事犯に係る相談等受理報告書(別記様式)により生活安全部長(生活経済課)あてに、相談者の精神状態が不安定で家族等への連絡、保護等が必要な場合は直ちに、それ以外の場合は速やかに報告すること。