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探偵業の業務の適正化に関する法律等の解釈及び運用について

平成19年6月1日
例規(生総)第55号

最近改正    令和元年12月13日例規(保・サ対)第104号         

この度、探偵業の業務の適正化に関する法律(平成18年法律第60号。以下「法」という。)及び探偵業の業務の適正化に関する法律施行規則(平成19年内閣府令第19号。以下「施行規則」という。)が制定され、平成19年6月1日から施行されることとなった。
これらの解釈及び運用は、次のとおりであるので、その趣旨に沿って適正な運用に努められたい。

第1 目的(法第1条関係)
探偵業は、個人情報に密接にかかわる業務であるが、何らの法的規制がなされず、調査の対象者の秘密を利用した恐喝事件、違法な手段による調査、料金トラブル等の問題が指摘されてきた。
このような状況にかんがみ、法は、探偵業について必要な規制を定めることにより、その業務の運営の適正を図り、もって個人の権利利益の保護に資することを目的として制定された。
このような法の目的にかんがみ、探偵業者に対する指導、監督等を通じ、調査の依頼者及び対象者の権利利益の保護を十分に図ること。

第2 定義(法第2条関係)

1 「探偵業務」の定義(第1項関係)
(1) 「他人の依頼を受けて」とは、契約に基づき、他人のために行うことをいい、「他人」とは、当該契約に基づく業務を行う者以外の個人及び法人等をいう。
また、次のような業務は、調査を行う場合であっても、自己の本来の業務のために行うものであり、「他人の依頼を受けて」行うものではないことから、探偵業務に該当しない。
ア 作家、著述家、フリージャーナリスト、インターネットメディア(インターネットのホームページ上で情報提供をする者等)等が自らの報道、著作等の用に供する目的で行う取材活動等
イ 学者、研究者等が自らの学術調査活動の一環として行う調査等の活動
ウ 弁護士、公認会計士、税理士又は弁理士が自ら受任した事務を行うため必要な活動
(2) 「特定人」の「人」には、個人のほか法人等が含まれ、「特定」の程度については、個人の場合は、住所、氏名等が必ずしも明らかである必要はないが、調査の対象者の個性に着目し、これを具体的に絞り込むことができる程度であることを要する。したがって、研究調査機関等が行う世論調査又はアンケート調査のような業務については、不特定多数の者から特定の類型を基に対象者を抽出するものであり、対象者の個性を前提としたものではなく、特定人に関する調査とはいえないことから、探偵業務に該当しない。
(3) 「所在又は行動」には、現在のものだけでなく、過去又は未来の所在又は行動が含まれ、特定の時期における個々具体的な「所在又は行動」だけでなく、勤務先、所属団体等についての情報、素行等の一般の情報が含まれる。
なお、単に個人又は法人の資産状況、経営戦略(経営戦略に基づきとった行動を除く。)等についての情報収集を行うことを目的とする業務については、「特定人の所在又は行動」についての情報収集を目的とするものではないことから、探偵業務に該当しない。
(4) 「面接による聞込み、尾行、張込み」とは、実地の調査の方法の例示であり、「その他これらに類する方法」とは、現場に出向いて行われる実地の調査の手法であって、例示に挙げられた方法と同等程度に対象者の権利利益を侵害する可能性のあるようなものをいい、例えば、秘匿性のあるカメラを設置し、その記録内容を解析する方法がこれに該当する。
なお、単に電話による問い合わせ又はインターネットを用いた情報の検索のみにより調査を行うだけの業務については、実地の調査を行うものではないことから、探偵業務に該当しない。
(5) 実地の調査の対象となる者は、情報収集の目的とされる「特定人」に限られない。
(6) 探偵業務は、「調査の結果を当該依頼者に報告」する業務、すなわち、依頼を受けて行う実地の調査及び調査の結果の依頼者への報告が一体となって行われる業務である。したがって、実地の調査により個人の所在又は行動についての情報を広く収集し、データベースを構築しておき、そのデータを依頼に応じて提供するような業務については、探偵業務に該当しない。

2 「探偵業」の定義(第2項関係)
(1) 「営業」とは、営利の目的で同種の行為を反復継続して行うことをいう。
(2) 「探偵業」には、「専ら、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われるもの」は除外されるが、これは、報道の自由を尊重する観点から、報道機関からの依頼を受けることを専業としているものを探偵業としての規制から除く趣旨であり、報道機関からの依頼のほか、報道機関以外の者からの依頼も受けている場合は、除外されない。
なお、「報道機関」には、「報道」を行う出版社、個人の作家、著述家、フリージャーナリスト等が含まれる。
(3) 「報道」とは、「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせることをいい、これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。」ものであることから、新聞の記事、ニュース番組のほか、事実に基づくものとして執筆されたコラム、エッセイ及び小説であってもこれに含まれる。

第3 欠格事由(法第3条関係)

1 第1号関係
(1) 法第3条第1号該当の有無については、原則として、市区町村長の証明書(施行規則第2条第3項第1号ハ)により判断すること。
(2) 「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」とは、裁判所が破産手続を開始するための要件が満たされていると判断し、破産手続開始の決定がされている債務者であって、免責許可の決定の確定、破産手続廃止の決定の確定等による復権を得ていない者をいう(破産法(平成16年法律第75号)第15条第1項、第30条第1項、第255条第1項及び第256条第1項)。

2 第2号関係
(1) 法第3条第2号の該当の有無については、原則として、許可等に係る欠格事由の照会要領(平成27年4月24日例規(生総・保・サ対・会)第54号)2に定めるところにより照会を行い判断すること。
(2) 「刑に処せられ」とは、刑の言渡しに係る裁判が確定することをいう。
(3) 法第3条第2号には、次のような者が該当する。
ア 刑の言渡しに係る裁判が確定したが刑の執行がなされていない者(執行猶予中の者を含む。)
イ 刑の執行中である者
ウ 刑の執行が終わったが終了の日から起算して5年を経過しない者
エ 刑の言渡しに係る裁判が確定した後に刑の執行を受けることがなくなったが、その日から起算して5年を経過しない者
(4) 「執行を終わり」とは、その刑の執行を受け終わったという意味であり、仮釈放された者は、仮釈放期間が終了したときに刑の執行を受け終わったことになる。
(5) 「執行を受けることがなくなった」とは、刑の時効が完成すること又は恩赦により刑の免除を受けることをいう。
(6) 執行猶予期間が満了した場合又は大赦若しくは特赦の場合には、刑の言渡し自体が効力を失うので、その時点で、「刑に処せられ」た者ではなくなり、法第3条第2号に該当しなくなる。

3 第3号関係
(1) 法第3条第3号該当の有無については、原則として、前記2の(1)の照会の結果及び部内資料により判断すること。
(2) 「処分に違反した」とは、違反した事実があることをいうが、違反事実について事件処理された場合であって、検察庁又は裁判所の処分結果が不起訴(起訴猶予を除く。)又は無罪であるときは、原則として、法第3条第3号に該当しないものとして取り扱うこと。

4 第4号関係
「暴力団員」とは、暴力団(その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。)の構成員をいう。

5 第5号関係
法第3条第5号該当の有無については、精神機能の障害があれば一律に欠格となるものではなく、施行規則第2条第1項に規定する届出書その他の書類の記載内容及び届出の際の言動等により業務を適正に行う能力を有するかどうかという観点から判断すべきことに留意すること。この場合において、必要と認めるときは、面接調査、聞き込み調査等を行うほか、医師の診断書の提出を求める等して、判断するものとする。

6 第6号関係
(1) 法第3条第6号該当の有無については、原則として、施行規則第2条第3項第1号イ及びニに掲げる書類により、営業の許可等を確認するとともに、「営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者」については、その法定代理人の欠格事由該当の有無を前記1から5まで及び後記7の(1)の要領で判断すること。
(2) 「営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者」とは、親権者又は未成年後見人から営業を許可された者(民法第6条第1項)及び婚姻により成年に達したものとみなされる者(民法第753条)以外の未成年者をいう。

7 第7号関係
(1) 法第3条第7号該当の有無については、原則として、施行規則第2条第3項第2号ロに掲げる書類により、全ての役員の欠格事由該当の有無を前記1から5までの要領で判断すること。
(2) 「役員」とは、法人において、その業務の執行、業務の監査等の権限を有する者をいい、株式会社の取締役及び監査役、委員会設置会社(会社法(平成17年法律第86号)第2条第12号)の執行役、持分会社の業務を執行する社員、社団法人及び財団法人(民法第34条)の理事及び監事等をいう。

第4 探偵業の届出(法第4条関係)

1 第1項(各号を除く。)関係
(1) 「営業所」とは、本店、支店、支社、事業所等の名称を問わず、営業上の主要な活動が行われる一定の場所をいい、また、法は探偵業者に対し、営業所ごとに、従業者の名簿の備付けを義務付けていることから、「営業所」は、規模の大小を問わず、所属している従業者に対する日常的な配置運用等の実質的な業務運営が行われている場所が想定されていると解される。したがって、営業の目的とする一部の行為が行われる場所であっても、その遂行が他の指示に従ってなされるにすぎない場合は、「営業所」ということができず、例えば、探偵業者の指示に従って、単に電話の取次ぎのみを行うような場所は、「営業所」とはいえない。
(2) 法は、探偵業について、営業所ごとの届出を求めているので、既に届出をして探偵業を営んでいる者であっても、新たに営業所を設けようとする場合には、当該営業所に関する届出が別途必要であることに留意すること。

2 第1項各号関係
(1) 第1号関係
ア 「商号」とは、商人の営業上の名称をいう。
イ 「住所」とは、届出者が法人の場合には主たる事務所の所在地をいい(民法第50条)、会社については本店の所在地をいう(会社法第4条)。
(2) 第2号関係
「主たる営業所」は、原則として会社法上の本店と一致するが、届出者が他の営業をも併せ行っている場合等であって、探偵業に係る営業の中心となる営業所が会社法上の支店であるときは、主たる営業所が会社法上の本店と一致しないこともあり得る。
(3) 第3号関係
「当該営業所において広告又は宣伝をする場合に使用する名称」とは、営業所において広告又は宣伝をする場合に使用されている名称のうち、商号と異なるものをいい、探偵業者が、同一の営業所について複数の名称により広告又は宣伝をしている場合には、届け出ることが必要である。

3 第2項関係
(1) 「当該探偵業」とは、当該届出に係る探偵業をいい、会社は存続し、探偵業を継続するものの、届出をした営業所に係る探偵業を廃止したときは、探偵業廃止届出書(施行規則別記様式第2号。以下「廃止届出書」という。)を提出することとなる。
なお、「探偵業を廃止したとき」には、自ら進んで探偵業を廃止した場合のほか、法第15条第2項の規定による営業廃止命令を受けて廃止した場合が含まれる。
(2) 届出事項のうち、営業所の所在地の変更があった場合の届出については、次のとおりとなる。
ア 法が営業所ごとに都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)への届出を求めている趣旨にかんがみ、都道府県の区域を異にして所在地を変更する場合には、変更前の営業所が所在する都道府県の区域を管轄する公安委員会に対しては廃止届出書を提出し、変更後の営業所が所在する都道府県の区域を管轄する公安委員会には開始届出書を提出することとなる。
イ 同一の都道府県内において営業所の所在地を変更する場合であって、業務の内容及び役員は同じであるが、従業者に若干の変更が生じたにすぎない場合等営業所として実質的に同一性が認められるときには探偵業変更届出書(施行規則別記様式第3号)を提出し、それ以外のときには、変更前の営業所について廃止届出書を提出し、変更後の営業所について開始届出書を提出することとなる。
(3) 探偵業者が法人の場合において、その役員に異動が生じたときは、当該法人が有するすべての営業所について、その所在地を管轄する公安委員会に変更の届出を行うこととなる。
(4) 施行規則第3条第2項の「探偵業の廃止又は変更の日から10日以内」とは、当該廃止又は変更の日を算入せず、その翌日から起算して10日以内をいう(民法第140条)。

4 第3項関係
(1) 届出については、形式上の要件に適合した届出が提出先とされている警察署に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとなるため(行政手続法(平成5年法律第88号)第37条)、その翌日から探偵業を営むことができることとなることを踏まえ、警察署において形式上の要件に適合した届出を受け付けた場合には、速やかに探偵業届出証明書(施行規則別記様式第4号。以下「届出証明書」という。)を交付すること。
(2) 届出証明書は、届出があったことを証明するものにすぎず、探偵業者が欠格事由に該当していないことを証明するものではない。したがって、届出の後、探偵業者が欠格事由に該当することが判明した場合には、法第15条第2項に基づく営業廃止命令の対象となる。
(3) 法第4条第1項各号に掲げる事項に関して変更の届出があった場合には、当該変更事項が届出証明書に記載する事項でなくても、新たな届出証明書を交付することとなる。

第5 名義貸しの禁止(法第5条関係)
法第5条は、届出をしていない者に名義を貸すことのみならず、届出をしている者に名義を貸すことをも禁じた規定である。また、届出をした者が自らは探偵業を営まずに他人に名義を貸した場合に限らず、届出をした者が自己の名義で探偵業を営みつつ、他人に名義を貸した場合にも、同第5条違反が成立する。

第6 探偵業務の実施の原則(法第6条関係)

1 法第6条前段関係
(1) 「この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意する」とは、探偵業者等が探偵業務を行うに当たり、この法律によって特別の権限を与えられるものではなく、探偵業務であることを理由に正当な業務行為として違法性が阻却されるものではないことを注意的に規定したものである。
(2) 「他の法令において禁止されている行為」には、例えば、調査の対象者を見張るため、付近住民宅の敷地に許可なく入る行為等の刑法(明治40年法律第45号)上の犯罪行為、調査の対象者の電話を盗聴する行為等の電気通信事業法(昭和59年法律第86号)違反の行為等が該当する。
(3) 「他の法令において制限されている行為」には、例えば、住民基本台帳を閲覧する行為等の住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)において制限されている行為、個人データを第三者に提供する行為等の個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)において制限されている行為等が該当する。

2 法第6条後段関係
「人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害」した場合は、指示等の処分の対象となる。

第7 書面の交付を受ける義務(法第7条関係)

1 法第7条は、依頼者に対してではなく、探偵業者に対して義務を課したものであり、違反した場合には、指示等の処分の対象となる。

2 「犯罪行為」とは、刑法に限られず、刑罰法令に違反する行為をいい、例えば、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第10条第1項(同法第28条の2において読み替えて準用する場合を含む。)に基づく保護命令に違反する行為等が該当する。

3 「違法な差別的取扱い」とは、例えば、労働基準法(昭和22年法律第49号)において禁止されている労働条件の差別的取扱い等をいう。

第8 重要事項の説明等(法第8条関係)

1 総説
(1) 法第8条第1項の規定により契約を締結しようとするときに依頼者に対して交付する書面(以下「契約前書面」という。)及び同条第2項の規定により依頼者に対して交付する契約の内容を明らかにする書面(以下「契約後書面」という。)は、それぞれ一の書面であることを要せず、契約書、調査の計画書、パンフレット等複数の書面によることで差し支えない。
(2) 依頼者と探偵業務を行う契約を締結した探偵業者が、他の探偵業者に当該探偵業務を委託する契約を締結する場合には、当該他の探偵業者は、当該探偵業務を行う契約を締結した探偵業者に対して、契約前書面及び契約後書面を交付する必要がある。

2 第1項関係
(1) 第4号関係
「法第10条に規定する事項」については、法第10条第1項に規定する守秘義務を負っていることのほか、同条第2項に規定する資料の不正又は不当な利用を防止するための措置のうち、法第8条第1項第9号の資料の処分に関する事項以外の事項を明らかにする必要がある。
(2) 第5号関係
「提供することができる探偵業務の内容」については、収集できる情報、実施できる調査方法、従事できる人数等の調査の体制、調査を実施できる地域の範囲、依頼に係る調査に通常見込まれる時間、調査結果の報告の方法等を明らかにする必要がある。
(3) 第6号関係
「探偵業務の委託に関する事項」については、探偵業務を他の探偵業者に委託するか否か、委託する場合には、委託する探偵業者の基礎的事項(法第8条第1項第1号及び第2号に掲げる内容)、委託する業務の内容、依頼者の氏名等を通知するか否か等を明らかにする必要がある。
(4) 第7号関係
「金銭の概算額」とは、探偵業務の対価を含む契約に伴い依頼者が支払わなければならない一切の金銭の概算額をいい、一般的な料金体系等のほか、依頼に係る探偵業務にかかり得る最大限の総額、その算出の基礎となる個別の料金設定等を詳細に明らかにする必要がある。
(5) 第8号関係
「契約の解除に関する事項」には、契約の当事者が契約を解除することができる事由のほか、契約の解除の場合に発生する可能性のある違約金に関する事項が含まれる。
(6) 第9号関係
ア 「探偵業務に関して作成し、又は取得した資料」とは、例えば、調査の過程で作成されたメモ、調査の報告書、調査の過程で記録した写真、ビデオテープ及び録音テープ、調査の過程で入手した資料等をいう。
イ 「処分に関する事項」とは、処分を行うか否か、行う場合にあっては、処分の時期、その方法等をいう。

3 第2項関係
(1) 第3号関係
「探偵業務に係る調査の内容、期間及び方法」については、調査の対象者、調査の目的とする情報の内容、調査の体制、調査を実施する地域の範囲、調査の期間、調査方法、調査の過程で追加料金が必要となる業務が生じた場合における当該業務の実施の有無及び内容等を具体的かつ詳細に記載することが必要である。
なお、調査の期間については、いつからいつまでの何日間行うか、1日何時間程度行うかのほか、夜間、深夜、休日等、稼働時間帯により特別料金が設定される場合には、同時間帯における実施に関すること等が含まれる。
(2) 第4号関係
ア 「調査の結果の報告の方法」とは、調査の過程で記録した写真、録音テープ等を提示するのみか又は提供するか、調査の報告書を作成して文書又は電子メールで報告するか、口頭で報告するか等をいう。
イ 「報告の期限」については、具体的な年月日のほか、所在が判明したときは、直ちに報告する等と記載して差し支えない。
(3) 第6号関係
契約に係る探偵業務にかかる具体的な金額を確定しておくことが望ましいが、調査の結果、実費費用請求等結果又は過程によって金額が変動し得ることが契約において留保されている場合には、当該契約に係る探偵業務にかかり得る最大限の総額、その算出の基礎となる個別の料金設定等を詳細に明らかにする必要がある。

第9 探偵業務の実施に関する規制(法第9条関係)

1 第1項関係
「当該探偵業務に係る調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法行為のために用いられることを知ったとき」とは、従業者の報告等を通じて知った場合も含まれ、調査の結果が違法な行為のために用いられることを確定的に認識した場合のほか、そのような可能性があることを認識した場合も「知ったとき」に該当する。したがって、家出した配偶者の所在の調査依頼を受けた場合において、調査の過程で、依頼者が、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第10条第1項(同法第28条の2において読み替えて準用する場合を含む。)に基づく保護命令を受けている可能性があることが判明したときには、保護命令違反のために用いられるものでないことが明らかにならない限り、探偵業務を行ってはならない。

2 第2項関係
法第9条第2項により禁止されるのは、「探偵業務」の全部又は一部を「探偵業者」以外の者に委託することであり、探偵業者が聞込みを行う過程で第三者に単に情報提供を依頼すること、調査の過程で取得した写真の現像を第三者に依頼すること等は、「探偵業務」の委託ではないから、法第9条第2項の違反ではない。また、探偵業務を委託すること自体は禁止されていないが、委託先は法第4条第1項の届出をして探偵業を営む者に限られるので、個人の事業者を含め、無届で探偵業を営む者に探偵業務を委託することは、法第9条第2項違反となるが、臨時に雇用した者を含め、探偵業者の従業者に探偵業務を行わせることは、委託ではないから、法第9条第2項に違反するものではない。

第10 秘密の保持等(法第10条関係)

1 第1項関係
(1) 「探偵業者の業務」には、探偵業務のほか、同業務の遂行に必要な庶務、経理等の業務が含まれる。
(2) 「業務に従事する者」には、常時又は臨時を問わず、探偵業者と雇用関係のある者のほか、業務に従事する役員、業務の一部を手伝う家族、第三者から派遣された者が庶務、経理等を行う場合における派遣社員等が該当する。
なお、個人の探偵業者も、「業務に従事する者」に含まれる。
(3) 「正当な理由」がある場合には、法令上通報又は報告する義務を負う場合、訴訟手続上の証人として証言しなければならない場合、依頼者本人が承諾した場合等が該当する。
(4) 個人情報保護法第18条第1項においては、個人情報取扱事業者が個人情報を取得した場合には、その利用目的を本人に通知し、又は公表することとされており、同項の適用が除外されるのは、あくまでも同条第4項各号に掲げる事由に該当する場合である。したがって、法第10条第1項によって、探偵業者一般に個人情報保護法第18条第1項の適用が除外されるものではないことに留意する必要がある。

2 第2項関係
「不正又は不当な利用を防止するため必要な措置」については、資料の保管方法、資料を取り扱うことのできる者の範囲、資料を持ち出す場合の手続、資料を複写する場合の手続、廃棄方法、情報セキュリティの確保等の点において適正に管理されている必要がある。また、その実効性を担保するため、必要な規程の整備及びかぎのかかる保管庫、セキュリティ措置が講じられているパソコン等物的措置が講じられている必要がある。

第11 教育(法第11条関係)

1 「使用人その他の従業者」とは、探偵業者の下で業務に従事する者をいい、雇用関係を有するか否かを問わない。

2 「必要な教育」には、法及び個人情報保護法を始めとする関係法令の知識、適正な探偵業務の実施方法、業務に関する資料及び情報の適正な取扱い方法等についての教育が含まれる。

3 法第11条の義務の履行を担保するため、教育の計画書及び教育の実施状況を記録した書面を作成するように指導すること。

第12 名簿の備付け(法第12条関係)
施行規則第5条第1項第3号の「従事させる探偵業務の内容」には、各従業者の行う業務の具体的内容について記載する必要がある。

第13 報告及び立入検査(法第13条関係)
営業所の所在地を管轄する公安委員会に届出書を提出すれば、探偵業者は、他の都道府県の区域においても探偵業務を行うことができることから、法の施行に必要な限度においては、営業所の所在地を管轄する公安委員会以外の公安委員会であっても、報告又は資料の提出を求めることができ、立入りについても、営業所の所在地を管轄する都道府県警察以外の都道府県警察の職員であっても行うことができることに留意すること。この場合においては、保安課を通じて他の公安委員会と連絡を密にすること。

第14 指示(法第14条関係)
公安委員会は、探偵業者等が法令違反行為をした場合において、探偵業の業務の適正な運営が害されるおそれがあると認められるときに当該探偵業者等に対して指示をすることができるものであるが、探偵業に関する指導監督は、届出に係る営業所の所在地を管轄する公安委員会が一元的に行うのが効果的かつ効率的であることから、指示は違反行為を行った探偵業者等に係る営業所の所在地を管轄する公安委員会が行うものとする。したがって、営業所の所在地が他の公安委員会の管轄に係る探偵業者等の違反行為を把握した場合は、速やかに保安課を通じて当該他の公安委員会に連絡すること。

第15 営業の停止等(法第15条関係)

1 営業停止命令
公安委員会は、探偵業者等が法令違反行為をした場合において、探偵業の業務の適正な運営が著しく害されるおそれがあると認められるとき又は法第14条の規定による指示に違反したときは、当該探偵業者等に対して営業停止命令を行うことができるものであるが、営業停止命令は、指示と同様に、違反行為を行った探偵業者等に係る営業所の所在地を管轄する公安委員会が行うものとする。したがって、営業所の所在地が他の公安委員会の管轄に係る探偵業者等の違反行為を把握した場合は、速やかに保安課を通じて当該他の公安委員会に連絡すること。

2 営業廃止命令
(1) 営業廃止命令の主体
公安委員会は、法第3条各号に掲げる欠格事由のいずれかに該当する者が探偵業を営んでいることを認めたときは、当該者に対して営業廃止命令を行うことができるものであるが、欠格事由に該当する者については、速やかに排除する必要があることから、営業廃止命令については、管轄区域内にその者の営業所が所在しているか否かを問わず、欠格事由に該当する者が探偵業を営んでいることを把握した公安委員会が行うものとする。
(2) 営業廃止命令の対象
営業廃止命令の対象は、探偵業の届出をしている者か届出をしていない者かを問わない。
(3) 営業廃止命令の効力
営業廃止命令を受けた者が公安委員会に届出をしていた者である場合には、営業廃止命令の効力は、その者が営むすべての営業所における探偵業に及ぶ。したがって、営業廃止命令を受けた者は、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に対して、廃止の届出を行わなければならない。