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大阪府警察施設類型別計画_本部庁舎及び警察署編

本部庁舎及び警察署編

第1 目的等

1 目的

本編における対象施設は、本部庁舎及び警察署であり、本計画は、これらを最適な状態で維持、管理及び運営するための整備計画である。
本計画の取組期間は、平成28年度から平成37年度までの10年間とし、取組の進捗状況を毎年度検証し、おおむね3年が経過した時点で必要に応じ見直す。

「本部庁舎」とは、本部本庁舎、本部別館をいい、「本部別館」とは、関目別館庁舎、新北島別館庁舎、芦原別館庁舎、中崎町別館庁舎、森之宮別館庁舎、りんくうタウン別館庁舎、総合訓練センター庁舎、第一方面機動警ら隊庁舎、航空隊庁舎、門真運転免許試験場庁舎、光明池運転免許試験場庁舎等本部本庁舎以外の本部施設をいう。

2 役割

本部庁舎及び警察署は治安を維持するために不可欠な施設であり、特に本部本庁舎(大阪市中央区)はその中枢となる施設である。また、警察署は、第一線における警察活動の拠点として留置施設、取調室等、警察特有の設備を有しているとともに、災害発生時には、被災者等の救出・救助活動等における拠点としての機能も有しており、いずれの施設も、府民の安全・安心を確保するために極めて重要な役割を担った施設である。

3 警察署の基準

警察法施行令(昭和29年6月19日号外政令第151号)第5条
(警察署の名称等の基準)
第5条 法第53条第4項に規定する警察署の名称、位置及び管轄区域の基準は、次のとおりとする。
一 警察署の名称は、(以下省略)。
二 警察署の位置は、管轄区域内の住民の利用に最も便利であるように、他の官公署との連絡、交通、通信その他の事情を参しゃくして決定すること。
三 警察署の管轄区域は、警察の任務を能率的に遂行することができるように、人口、他の官公署の管轄区域、交通、地理その他の事情を参しゃくして決定すること。

第2 現状と課題

1 現下における警察情勢

(1)治安情勢

現下の治安情勢をみると、刑法犯認知件数は平成13年をピークに減少しているものの、ストーカー事案、児童虐待、配偶者からの暴力事案が増加傾向にあることに加え、来日外国人犯罪の増加、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺の被害も拡大している。また、平成27年中における人口10万人当たりの刑法犯の犯罪率は全国ワースト1位であるほか、110番受理件数も増加傾向にあることから、犯罪情勢は依然として予断を許さない状況である。ほかにも、暴力団抗争、サイバー犯罪、イスラム過激派等による国際テロ、南海トラフ地震による被害想定等、社会情勢の変化に伴う治安上の課題も深刻化している。

(2)人員体制

治安維持のため、大阪府警察官の定員は、平成14年度から平成25年度の12年間で1,800人が増員され、これに合わせ警察署の体制にあっても配置定員の見直し(増員)により体制強化を図ってきた。さらに、警察庁では、ストーカー・DV事件や特殊詐欺事件への対策強化及び2020年東京五輪に備えるため、平成27年度から3年間で全国警察官を3,000人増員することとしており、このうち大阪府には、平成27年度63人、平成28年度66人が増員されている。

参考

大阪府は、例年「国の施策並びに予算に関する最重点提案・要望」において、警察官の更なる増員を国に対し要望している。

(3)来庁者の状況

警察署は、存在そのものが府民に安心感を与えることはもとより、犯罪抑止に大きく貢献しているところ、府民の利用状況をみると、刑事事件、交通事故、警察相談等の関係者以外にも、運転免許、遺失・拾得、車庫証明等の手続で利用する府民もいる。その利用者は、年間200万人以上(平成26年中)にものぼり、刑事事件等の関係者も合わせると多数の府民が利用している状況にある。

2 警察施設の現状

(1)施設の状況

本部本庁舎は、平成19年に建設され、地上9階(一部10階)・地下3階、延面積は118,198平方メートルとなっており、通信指令室、交通管制センター、燃焼実験室、ヘリポート等の警察本部特有の機能を有しているとともにコージェネレーションやエコアイスを導入することにより環境性や省エネルギー性に配意された施設となっている。
一方、警察署は、平成28年4月1日現在、65署が設置されているが、建替中の4署を除くと、建築後30年を経過している警察署は36署、このうち40年を経過している警察署は17署となっている。設備環境をみると、エレベーターの設置がない警察署が40署、車いす用トイレの設置がない警察署が16署となっている。

(2)整備等の状況
ア 更新等の状況

大阪府の治安情勢や府民要望等に鑑み、平成に入ってからは、

  • 平成元年、泉北警察署(現在の南堺警察署)
  • 平成2年、摂津警察署
  • 平成6年、関西空港警察署
  • 平成22年、新北島別館庁舎
  • 平成24年、交野警察署

の新設を行ってきた一方で、大阪府から廃止施設の所管替えを受け警察施設としての有効活用も図ってきたところ、近年では、

  • 平成17年、旧住宅管理センターを廃止し、駐車管理センター(注釈1)
  • 平成21年、旧大阪府職員運動広場を廃止し、舞洲警察活動センター
  • 平成23年、旧大阪府福祉人権推進センターを廃止し、芦原別館
  • 平成27年、旧大阪府森之宮庁舎を廃止し、森之宮別館

としてそれぞれ運用を開始し、「安全なまち大阪」を確立するために取り組んできた。
現在においては、豊中、天満及び平野の3署の建替工事を実施しており、東住吉警察署の建替えにも取り組むこととしている。また、平成26年度から淀川警察署の敷地内に第二方面機動警ら隊庁舎(注釈2)の新設、平成27年度から南警察署別館(注釈3)の新設にも着手している。

(注釈1)駐車管理センターは、現在大阪府咲洲庁舎に移転、旧駐車管理センターは売却している。
(注釈2)第二方面機動警ら隊は、淀川警察署の本館の一部に併設されている。淀川警察署は本館と別館で構成されているが、別館は耐震性能不足により平成28年度に撤去することとしている。このため、別館に替わる施設として第二方面機動警ら隊の庁舎を新たに建設し、完成後は、第二方面機動警ら隊が使用している本館執務室に淀川警察署別館の機能を移設するものである。
(注釈3)南警察署は、警察官の増員等により、狭隘化が著しい状態となっていることから、その施設環境を改善(緩和)するために、南警察署の近隣に別館を建設するものである。

イ 耐震化への取組状況

平成18年度から「府有建築物耐震化実施方針(平成19年3月12日)」に基づき、現行の耐震基準と同等の耐震性能を有しない本部庁舎や警察署(構造耐震指標Is値が0.6未満の建築物)について、建替え、耐震改修、移転、撤去のいずれかの手法により優先的・計画的に耐震化を実施してきたところ、建替え(平野警察署)以外の手法による耐震化については、平成27年度をもって完了している。

ウ コスト縮減への取組状況

平成17年度から門真運転免許試験場においてESCO事業を実施しているが、平成27年2月策定の「新・大阪府ESCOアクションプラン」に基づき、平成28年度から警察署でESCOサービスを開始している。
照明のLED化更新及び空調機の熱源更新等の整備により、省エネルギー化及び地球温暖化防止対策を図るとともに、光熱水費の削減によるコスト縮減にも取り組み、ESCO事業を効果的に推進する。

  • 平成28年度開始
    東、南、大正、西成、東淀川、羽曳野、寝屋川及び堺の8警察署
  • 平成29年度開始予定
    東成、阿倍野、箕面、富田林及び黒山の5警察署

ESCO(Energy Service Companyの略)事業とは、既存庁舎等を民間の資金とノウハウで省エネルギー化の改修を行い、省エネルギー化による光熱水費の削減分で改修工事に係る経費等を償還し、残余を大阪府とESCO事業者の利益とする事業

エ 維持管理の状況

維持管理は、外壁の損壊や設備機器の故障等の不具合が発生してから補修対応を実施する、いわゆる事後保全に頼っているものとなっており、今後、施設の著しい機能低下につながる可能性がある。すでに一部の施設では、空調機等の設備機器が故障しても部品の製造が終了している等により、補修対応ができず更新せざるを得ない状況が発生している。
また、保全に投資する当面の経費が十分でないため、施設のライフサイクルコストとしては結果的に多額の費用を投じる可能性も想定される。

3 課題

(1)警察署における老朽化・狭隘化等

警察署は、24時間・365日休みなく稼働し、多数の府民が利用する施設であるにもかかわらず、多くの警察署で老朽や狭隘等の課題を抱えており、最適な施設環境とは言い難い状況である。このため、安全性や利便性を高めるよう計画的に改善していく必要がある。

ア 老朽化

警察署は、老朽化が進んでおり、特に経過年数の長い警察署にあっては、その傾向が顕著である。建築基準法上の法定点検の結果、老朽化の主な状況として、

  • 外壁:ひび割れ、浮き、剥離等
  • 屋上:漏水、ひび割れ、シール劣化等
  • 鉄部等:腐食、発錆、塗装劣化等

が見られる。また、外壁の崩落や屋上からの漏水等が度々発生しているほか、空調機や電気設備の障害も頻繁に発生している。

イ 狭隘化

建築当時に比べ警察事象が増加してきたことから、警察官の増員や装備資機材の増強等により、警察力の充実・強化を図っていることに加えて、捜査書類等の保管物件も増加していることから、これらの影響を受け、警察署の狭隘化が著しく進行している。
狭隘の度合いをみると、現有の延面積と必要とする延面積(注釈4)を比較した場合、現有面積が必要面積にも満たない警察署が多数ある状況である。特に、古い警察署ほどその傾向は強く、極めて深刻な問題である。
狭隘による支障は多方面にわたり生じているが、一例を述べると、次のとおりである。

  • 捜査本部(犯罪捜査規範(昭和32年7月11日国家公安委員会規則第2号)第22条)設置の必要が生じた場合、活用できる執務室等がなく、本来の使用目的から逸脱するが、柔道場、食堂、当直室等を充当している。
  • 警察官の増員に伴い、執務室が狭隘となっているのはもとより、更衣室の狭隘化も著しく、更衣室内にロッカー等が収まらないことから、通路等の公共スペースを侵食せざるを得ない状況である。一方、プライバシーの保護に努めなければならない事件関係者についても、個室等のスペースも不足していることから、プライバシーに配慮しつつ、執務室の一角や公共スペース等で対応している状況である。
  • 犯罪や大規模災害等に対応するための装備資機材が増加しているが、倉庫の保管スペースが不足し、容量を超過していることから、機械室等を利用している。
  • 捜査書類等を保管するスペースも不足していることから、機械室等を代用している。また、平成26年度に証拠品係を設置の際、既存の執務室の間仕切りや倉庫等の改修等により、新たに執務室等を確保したが、狭隘に拍車をかけた状態になっている。

(注釈4)警察庁通達に基づく施設補助金新営基準(各警察署の定員を基に算出)に大阪府として必要な府民応接室や会議室等を加えた面積を「必要とする延面積」としているが、各警察署ごとの特殊事情を考慮せず均一に積み上げた最小規模の面積である。

ウ 警察署におけるバリアフリー化の未整備等

障がい者や高齢者等が円滑に移動するためには、

  • 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年6月21日号外法律第91号)第14条第5項
    (特別特定建築物の建築主等の基準適合義務等)
    第14条
    5 建築主等(第1項から第3項までの規定が適用される者を除く。)は、その建築をしようとし、又は所有し、管理し、若しくは占有する特別特定建築物(同項の条例で定める特定建築物を含む。以下同じ。)を建築物移動等円滑化基準(同項の条例で付加した事項を含む。第17条第3項第一号を除き、以下同じ。)に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
  • 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年6月26日号外法律第65号)第5条
    (社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備)
    第5条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。

により、エレベーターや車いす用トイレの設置等、環境の整備に努めなければならないところであるが、バリアフリーに未対応の警察署がある。

(2)維持管理

事後保全型の維持管理は、空調機や電気設備等の故障が発生しても、復旧に長期間(場合によっては複数年)要することとなり、また庁舎外壁の崩落や屋上からの漏水等は、事故につながる危険性もある。
このため、施設の老朽化に備え、府民等が安全に利用できるように、施設の点検体制の充実を図り、施設の不具合が発生する前に予防的に施設の改修や機器の更新等を行う仕組みを構築する必要がある。併せて、施設の長寿命化を図り、維持経費の軽減・平準化、トータルコストの縮減を目指す必要がある。
特に、本部本庁舎については、第一期棟の完成から14年が経過し、中央監視設備、非常用発電機、パッケージ型空調機等が設備更新等の時期を迎えており、各種機器等の更新に多額の費用が見込まれることから、維持経費の平準化等を踏まえた計画的な設備更新を進める必要がある。

第3 取組方針

1 長寿命化等に向けた取組方針

  • 施設の更新時期については、建築後70年以上を目標とする。
  • 長寿命化にあたっては、これまでの事後保全型の維持管理体制から予防保全型の維持管理体制への転換を図る。
(1)長寿命化の検討

更新時期については、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(鉄筋コンクリート造の事務所の耐用年数50年)を踏まえ、建築後おおむね50年で検討しているものを、建築後70年以上を目標とする。

(2)更新等の検討

前述(第2の3(1))のとおり、警察署では老朽、狭隘等が喫緊の課題となっている。

したがって、

  • 点検・劣化度調査等を実施する中で、主要構造部のコンクリートの強度や中性化の進行を確認した結果において、劣化が著しい場合
  • 物理的な狭隘の度合が著しく高い場合

等、通常の維持・修繕を加えても、課題の解消、安全性や府民サービスの確保、多様化する警察ニーズへの対応ができない場合は、改修、増築、他施設の転用等で対応し、代替策がない場合は、建築後70年に満たない場合でも更新を検討する。

(3)維持管理体制の転換及び計画的な改修

建築基準法上の法定点検の活用に加え、法定点検では把握できない設備等の劣化状況について、「FM基本方針」に示された劣化度調査及び施設管理者による日常点検を実施し、「中長期保全計画」及び「修繕実施計画」を策定し、「事後保全型」から「予防保全型」への維持管理体制の転換を図る。
計画的な改修として、建築後おおむね25年、50年を目処に、施設需要を踏まえた大規模改修の実施を検討する。また、ESCO事業による設備改修についても継続して検討を行い、コスト縮減に努める。

2 総量最適化・有効活用に向けた取組方針

  • 施設の新設は、原則行わない。(新たなニーズに対応する場合は、既存施設の有効活用、転用を検討し、これらができない場合は、新設、増設を検討する。)
  • 本格的な人口減少社会の到来に備え、治安情勢や人口動態の変化による個々の施設の需要見込みを踏まえ、次世代に継承可能な施設保有量を実現する。
  • 人口動態や社会環境の変化等による新たな行政ニーズを的確に捉え、既存施設の有効活用による多機能化、転用等を進め、より少ない投資で柔軟に対応する。
(1)総量最適化・有効活用への取組

前述(第2の2(2))のとおり、大阪府警察にあっては、治安情勢等に鑑み総量最適化や有効活用を図ってきた。
今後も、狭隘解消等の環境改善のほか、警察事象の変化等新たなニーズに対応する必要が生じた場合は、既存施設の有効活用、転用を検討し、これらができない場合は、新設、増設について検討するとともに、将来的な治安情勢や人口動態の変化を踏まえた施設の減築、集約等も検討することで、総量最適化・有効活用に取り組んでいく。

(2)警察署の在り方の検討

今後、人口減少や人口構成が変化すると予想されているが、一方では外国人観光客が増加(平成27年推計値は、716万人で前年のほぼ倍増と公表)する等、社会情勢は変化している。
大阪府警察では、社会情勢、治安情勢に的確に対応していくため、通年において業務の合理化・効率化を図り、限られた人員で最大限の効果を発揮させるため、例年、組織及び配置定員の見直しを行っている。
特に警察署においては、地域性、特殊性を分析の上、変遷する治安情勢に敏感に対応するため、より効率的かつ効果的な業務運営に努めているところであり、今後においても、管轄区域の見直し、事案に応じた人員の再配置をはじめ、府下全域の治安情勢や人口動態を見据えた各警察署の在り方について是正・検討していくこととしている。