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警備業法等の解釈及び運用について

平成23年2月25日
例規(生総)第3号

最近改正    令和元年12月13日例規(保・サ対)第104号        

この度、「警備業法等の解釈及び運用について」(昭和58年3月10日例規(防)第9号)の全部を改正し、警備業法(昭和47年法律第117号。以下「法」という。)、警備業法施行規則(昭和58年総理府令第1号。以下「施行規則」という。)、警備業の要件に関する規則(昭和58年国公委規則第1号。以下「要件規則」という。)、警備員指導教育責任者及び機械警備業務管理者に係る講習等に関する規則(昭和58年国公委規則第2号。以下「講習等規則」という。)、警備員等の検定等に関する規則(平成17年国公委規則第20号。以下「検定規則」という。)及び機械警備業者の即応体制の整備の基準等に関する規則(昭和58年公委規則第1号。以下「即応体制基準規則」という。)の解釈及び運用については、次によることとしたので、誤りのないようにされたい。

第1 目的(法第1条関係)
法の目的は、警備業務の実施の適正を図ること、すなわち、警備業務の実施に伴う違法又は不当な事態の発生を防止し、併せて警備業務の適切な実施を促進することにある。したがって、警備業者等に対する指導及び監督は、このような法の目的に資するものでなければならないことに留意すること。

第2 定義(法第2条関係)

1 第1項(各号を除く。)関係
(1) 「他人の需要に応じて行う」とは、他人との契約に基づき、他人のために行うことをいい、「他人」とは、当該業務を行う者以外の個人及び法人等をいう。また、当該業務が他の業務に包摂される場合には、警備業務に該当しないこととなるが、当該業務が警備業務以外の業務に付随して行われるからといって、直ちに「他人の需要に応じて行う」ものでないとはいえないことに留意すること。
(2) 次のような業務は、警備業務に該当しない。
ア 運送業者が通常の運送業務の内容として必要とされる範囲で、自己の従業員を自己の車両に乗車させる等して運送品の積卸し等に伴って盗難等の事故の防止を行う程度の業務
イ 倉庫業者が通常の倉庫業の業務の内容として必要とされる範囲で、自己の従業員を倉庫等に配置して受託品の盗難等の事故の防止を行う程度の業務
ウ 建設業者が通常の建設業の業務の内容として必要とされる範囲で、自己の従業員を配置して建設工事に伴う事故の防止を行う程度の業務
エ 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)の規定により、事業者がその従業員を使用して行う労働災害防止の業務
オ デパート等において、その従業員が通常必要とされる範囲で行う保安業務
カ 飛行場において行う航空機の誘導業務
キ 貸ビル業者が通常必要とされる範囲で、自己の所有建物においてその建物自体の保全管理を行う業務(貸借人との契約に基づいて事故の発生を警戒し、又は防止する業務を除く。)

2 第1項各号関係
(1) 第1号の「事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等」は、施設の例示であり、工場、学校等のほか、海水浴場、湖等に設けられた施設等も警備業務対象施設に該当する。
(2) 第1号の「盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務」とは、単に盗難の発生を警戒し、防止するだけでなく、人の生命若しくは身体に危険を及ぼし、又は財産に損害を及ぼすおそれのある市民生活の安全及び平穏に関する犯罪、事故その他の危険な事態の発生を警戒し、防止する業務と解され、これらの事故の代表的なものである盗難を例示して、この種の業務の態様を捉えているものである。したがって、「盗難等の事故」には、当該施設における活動の正常な運行を妨げ、又は施設の正常な状態を損なうような、市民生活の安全及び平穏に関する緊急の対処が必要な事象全般を含むと解される。
(3) 第3号の「現金、貴金属、美術品等」には、有価証券等の貴重品、核燃料物質等の危険物、危険な動物等が含まれる。
(4) 第4号の「人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務」とは、人の生命又は身体に危険を及ぼすおそれのある、人の身体の安全及び平穏に関する犯罪、事故その他の危険な事態の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務と解され、「人の身体に対する危害」には、人の身体の安全及び平穏に関する緊急の対処が必要な事象全般を含むと解される。
(5) 各号の「警戒し、防止する」とは、事故又は危害の発生につながる情報を把握する目的を持った活動を行い、事故又は危害の発生につながる情報を把握した場合には、その発生を防止するために必要な措置を行い、事故又は危害が発生した場合には、その被害の拡大を防止するために必要な措置をとることを含むものと解される。例えば、警備業務対象施設内において、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して、適当な保護者を伴わず、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当な理由のある者を発見して警察に通報する行為、出血して倒れている負傷者を救出する行為等はここに規定する業務に含まれる。
(6) いわゆる緊急通報サービスを行う民間業者が、緊急通報サービスに係る業務委託契約書等において、その事業の目的に応じて、「警戒し、防止する」の対象を病気、けが等による緊急事態に限定していたとしても、当該「病気、けが等による緊急事態」に、「盗難等の事故」及び「危害」によるものが含まれる可能性があるので、当該業務委託契約書等の内容、当事者の意思及び業務の実態からみて、これらの発生の警戒、防止等法第2条第1項第1号又は第4号に規定する業務に該当する業務を含む場合があることに留意すること。また、列車、航空機その他の交通機関に乗務し、乗客等による粗暴行為等の事故の発生を警戒し、防止する業務は、法第2条第1項第1号及び第4号の業務に該当する。
なお、水先人の業務は、法第2条第1項各号の業務に該当しない。

3 第2項関係
「営業」とは、営利の目的で同種の行為を反復継続して行うことをいい、当該警備業務実施者が公益法人(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)第2条第3号に規定する公益法人をいう。以下同じ。)である場合であっても、営利の目的がある場合があることに留意すること。

4 第4項関係
「警備員」とは、「警備業者の使用人その他の従業者で警備業務に従事するもの」をいい、ここでいう「従業者」とは、警備業者との雇用契約に基づいて警備業務に従事する者のほか、雇用契約以外の契約に基づき、警備業務に従事する者を意味する。この場合において、警備業務に従事しているか否かについては、警備業者からの指揮監督の下に、当該業務に関する労務を提供した事実の有無、労務に対する給料、報酬その他の対価の受領の有無等の事情を総合的に判断して、当該業務への関与の度合いを評価して判断すること。

5 第5項関係
「警備業務用機械装置」とは、各種センサー、非常通報装置等を用いた機器の全体をいうが、受信機器が当該警備業務対象施設以外の施設に設置されている場合に限っているため、同一建造物の内部で完結しているような装置は警備業務用機械装置ではないことに留意すること。また、いわゆる緊急通報サービスが警備業務に該当する場合において、対象者の所持する緊急通報装置により感知した事故等の発生に関する情報を、当該対象者宅等に設置する機器を通じて、他の施設に設置する機器に送信し、及び受信するための装置を使用して当該業務を行うときは、警備業務用機械装置を使用して法第2条第1項第1号の警備業務を行うと解されることから、当該緊急通報サービスは、法第2条第5項に規定する機械警備業務に該当することとなるが、対象者の所持する携帯型の発信器により感知した危害等の発生に関する情報を、当該発信器から直接、当該対象者宅以外の施設に設置する機器に送信し、及び受信するための装置を使用して当該業務を行うときは、当該緊急通報サービスは、法第2条第1項第4号の警備業務に該当し、機械警備業務に該当しない。

第3 警備業の要件(法第3条関係)

1 第1号関係
法第3条第1号該当の有無については、原則として、施行規則第4条第1項第1号ハに規定する市区町村長の証明書による書面審査により判断すること。

2 第2号関係
(1) 法第3条第2号該当の有無については、認定又は認定証の更新を申請する者(以下「申請者」という。)の本籍地の市区町村長に対する身上照会により判断すること。
(2) 法第3条第2号の規定は、刑の執行猶予の言渡しを受けてその期間が経過した場合又は大赦若しくは特赦があった場合には適用がないことに留意すること。

3 第3号関係
(1) 法第3条第3号該当の有無については、原則として、前記2の(1)の身上照会の結果及び部内資料により判断すること。
なお、検察庁又は裁判所の処分結果が不起訴(起訴猶予を除く。)又は無罪の場合は、原則として、同号に該当しないものとして取り扱うこと。
(2) 「警備業務に関し」とは、警備業務を行うに当たって違反が行われた場合、警備業者又は警備員の立場を利用して違反が行われた場合等警備業務に密接に関連して違反が行われた場合をいい、勤務時間中の行為であっても全く私行上のものは含まれないが、勤務時間外の行為であってもその立場を利用して行われたものは含まれる。
(3) 要件規則第1条第2号の「違法な行為」とは、同号に列挙された罪に当たる行為で違法性阻却事由のないものをいい、責任要素までは必要としないが、違法性は必要である。
(4) 法第3条第3号の要件に係る欠格期間の起算日は、検挙の日でなく当該重大な不正行為をした日であることに留意すること。

4 第4号関係
(1) 法第3条第4号には、次のような者が該当する。
ア 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号。以下「暴力団対策法」という。)第2条第6号に規定する暴力団員(以下単に「暴力団員」という。)
イ 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(法第3条第4号に該当しないと認める特段の事情がある者を除く。)
ウ 暴力団以外の犯罪的組織の構成員で、当該組織の他の構成員の犯罪率、犯罪の反復性等からみた当該組織の性格により、強いぐ犯性が認められるもの
エ 過去10年間に暴力的不法行為等(要件規則第2条に規定する行為をいう。)を行ったことがあり、その動機、背景、手段、日常の素行等から見て強いぐ犯性が認められる者
(2) 法第3条第4号該当の有無については、前記2の(1)の身上照会の結果及び部内資料によるほか、必要に応じ、家族、知人等に対する聞込み等による素行等の調査により総合的にぐ犯性を判断すること。
なお、申請者が法第3条第4号に掲げる者(以下「暴力団員等」という。)に該当するか否かの判断に疑義がある場合は、保安課長を通じて捜査第四課長に照会すること。

5 第5号関係
(1) 法第3条第5号該当の有無については、保安課長を通じて捜査第四課長に照会すること。この場合においては、申請者の氏名、生年月日等を確認することができるものを保安課長に送付すること。
(2) 「暴力団対策法第12条の規定による命令を受けた者」とは、暴力団員に暴力的要求行為(暴力団対策法第2条第7号に規定する暴力的要求行為をいう。以下同じ。)をするよう依頼したり、暴力団員による暴力的要求行為をその現場で助けたため、公安委員会から再発防止命令又は中止命令を受けた者をいう。
(3) 「暴力団対策法第12条の6の規定による命令を受けた者」とは、準暴力的要求行為(暴力団対策法第2条第8号に規定する準暴力的要求行為をいい、指定暴力団等(暴力団対策法第2条第5号に規定する指定暴力団等をいう。以下同じ。)に所属していない者が、その指定暴力団等の名刺又はバッジを借りる等して、人に対して指定暴力団等の威力を示し、不当な要求を行う行為をいう。以下同じ。)を行ったため、公安委員会から中止命令又は再発防止命令を受けた者をいう。
(4) 「暴力団対策法第12条の4第2項の規定による指示を受けた者」とは、指定暴力団等の暴力団員から準暴力的要求行為を行うよう求められた者のうち、当該暴力団員と元々密接な関係を有すること等から、そのまま放置すれば準暴力的要求行為を行いかねないために、公安委員会から準暴力的要求行為をしてはならない旨の指示を受けた者をいう。

6 第6号関係
法第3条第6号該当の有無については、原則として、医師の診断書(施行規則第4条第1項第1号ニ)により判断することとなるが、特に疑わしい場合には、面接調査、聞込み調査等を行い、なお不審点があれば法第51条に規定する医師(以下「指定医」という。)等専門医の診断を受けることを求め、その診断結果を踏まえて判断すること。
なお、指定医の診断を受けることを求めようとする場合は、事前に保安課長に連絡すること。

7 第7号関係
(1) 法第3条第7号該当の有無については、精神障害者であれば一律に欠格となるものではなく、施行規則第4条第1項第1号ホの規定により提出される精神機能の障害に関する医師の診断書(以下単に「診断書」という。)により業務を適正に遂行する能力を有するかどうかという観点から判断すべきことに留意すること。例えば、軽度の鬱病と診断されていても、警備業務を適正に行い得ると診断書等から認められる者は、この欠格事由に該当しない。
(2) 公安委員会に提出する診断書を作成する医師については、その専門とする分野を問わないが、法第3条第7号に掲げる者に該当しないことが明らかでない旨が記載された診断書が提出された場合には、必要に応じ、面接調査、聞込み調査等を行うほか、施行規則第4条第2項の規定により指定医の診断を受けることを求め、その診断結果を踏まえて判断すること。
なお、指定医の診断を受けることを求めようとする場合は、事前に保安課長に連絡すること。
(3) 診断書には、法第3条第7号に掲げる者に該当しないことが明らかであるかどうかの別が記載されていることを要するが、例えば、精神機能の障害がない旨が記載されている診断書であれば、その者が同号に掲げる者に該当しないことが明らかであるから、そのような診断書については、施行規則第4条第1項第1号ホの要件を満たした診断書として取り扱って差し支えない。

8 第8号関係
(1) 法第3条第8号該当の有無については、原則として、住民票の写し(施行規則第4条第1項第1号イ)等による書面審査により判断すること。
(2) 「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」とは、法定代理人から警備業に関し民法(明治29年法律第89号)第6条第1項の規定により営業を許された者及び民法第753条の規定により婚姻により成年に達したものとみなされる者以外の未成年者をいう。

9 第9号関係
(1) 法第3条第9号該当の有無については、原則として、施行規則第4条第1項第3号イの規定により提出される警備員指導教育責任者(以下「指導教育責任者」という。)として選任しようとする者に係る警備員指導教育責任者資格者証(以下「指導教育責任者資格者証」という。)の写し等による書面審査により判断すること。この場合において、法第22条第7項各号のいずれかに該当するか否かを添付書類等により確認すること。
(2) 警備業者は、認定を受けて営業を始めようとする時点において、指導教育責任者を選任していなければならないが、法第3条第9号に該当する場合とは、認定をするか否かの判断をする時点で、指導教育責任者として選任しようとする者を具体的に決めていない場合、選任しようとする者が当該営業所に勤務することが到底期待できない場合等である。

10 第10号関係
(1) 「業務を執行する社員」には、合名会社の社員及び合資会社の無限責任社員が該当する。また、「取締役」とは、株式会社におけるものである。
(2) 「執行役」とは、会社法(平成17年法律第86号)第2条第12号に規定する指名委員会等設置会社に同法第402条第1項の規定により置かれ、その業務執行を行うものをいう。
(3) 「これらに準ずる者」には、株式会社の監査役、一般社団法人及び一般財団法人(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)第2条第1号に規定する一般社団法人及び一般財団法人をいう。)並びに公益法人の理事及び監事等が該当する。
(4) 「同等以上の支配力を有するものと認められる者」であるか否かの判断に当たっては、その者が自己の地位、権限等に基づいて法人の意思決定に関しどの程度実質的な影響力を及ぼし得るかについて、個別具体的に検証することとなるが、例えば、次のような者は、これに該当することが多いと考えられる。
ア 相談役又は顧問の名称を有する者
イ 発行済株式の総数の100分の5以上の株式を所有する株主
ウ 出資の総額の100分の5以上の額に相当する出資をしている者
エ 自己の近親者(事実上の婚姻関係にある者を含む。)を傀儡(かいらい)として当該法人の役員に就任させている者
(5) 申請者が認定・認定証更新申請書(施行規則別記様式第1号。以下「認定等申請書」という。)に記載すべき役員は、業務を執行する社員、取締役、執行役及びこれらに準ずる者に限られるので、法第3条第10号該当の有無については、これらの役員について前記1から7までの例により判断することとし、その他の役員(法人に対し認定等申請書に記載された役員と同等以上の支配力を有すると認められる者をいう。以下同じ。)で、認定又は認定証の更新の申請の時点で判明しているものについても、同様の方法により同号該当の有無を判断すること。
なお、認定又は認定証の更新の後、その他の役員の存在を新たに把握した場合には、警備業者に対して法第46条の規定により当該役員に係る資料の提出を求めること等により、その法第3条第10号該当の有無を調査すること。

11 第11号関係
(1) 法第3条第11号の認定に当たっては、申請者の事業活動と暴力団員等との関わり方を個別具体的に検証することとなるが、同号の「支配的な影響力を有する者」の範囲は、一般に、同条第10号の「同等以上の支配力を有するものと認められる者」よりも広いと解され、また、法人のみに適用される同号と異なり、同条第11号は、個人事業者にも適用される欠格事由である。一方、同条第10号は、同条第1号から第7号までのいずれかに該当する者が支配力を有する場合に適用される欠格事由であるが、同条第11号は、暴力団員等が支配的な影響力を有する場合に限って適用される欠格事由であることに留意すること。
なお、同号の欠格事由は、暴力団員等から脅迫その他の不当な行為を受けて事業活動に支配的な影響力を受けることとなった被害者を含む趣旨ではない。
(2) 法第3条第11号には、典型的には暴力団員等が自己又は他人の名義で多額の出資若しくは融資をし、又は多額の取引関係を持っている相手方が、これを背景として当該暴力団員等から事業活動に支配的な影響力を受けている場合が該当する。また、「その他の関係」には、親族関係、人的派遣関係、株式所有関係等種々の関係が含まれ、例えば、次のような場合が考えられる。
ア 暴力団員等の親族(事実上の婚姻関係にある者を含む。)又は暴力団若しくは暴力団員等と密接な関係を有する者が、事業者個人又は法人である事業者の役員であることのほか、多数の株式の所有等により、暴力団員等が事業活動に支配的な影響力を有している場合
イ 暴力団員等が、名目のいかんを問わず、多額の金品その他財産上の利益の供与を受けていたり、売買、請負、委任その他の多額の有償契約を結んでいるという事実から、その者の事業活動に支配的な影響力を有していると認められる場合
(3) 法第3条第11号該当の有無の判断に当たっては、保安課長を通じて捜査第四課長に照会を行った上、当該照会の結果を踏まえて申請者の事業活動と暴力団員等との関わり方を個別具体的に検証することとなるが、必要があれば、捜査第四課と連携して実態把握を行うこと。

第4 認定(法第4条関係)
外国に本社を有する外国の警備会社が日本国内で警備業務を行う場合には、その期間が限られているときであっても、法第4条の認定を受けなければならない。

第5 認定手続及び認定証(法第5条関係)

1 第1項関係
(1) 「営業所」とは、本店、支店、支社、事業所等と呼ばれているもので、営業の拠点となるものをいう。
なお、営業の拠点とは、所属している警備員に対する日常の配置運用又は日常の業務の指揮統轄が行われている場所をいい、その規模の大小を問わない。
(2) 主たる営業所は、原則として会社法上の本店と一致するが、他の営業をも併せ行っている場合等であって、警備業に係る営業の中心となる営業所が会社法上の支店であるときは、主たる営業所が会社法上の本店と一致しない場合もあり得る。
(3) 第1号の「住所」とは、申請者が法人の場合には「主たる事務所の所在地」をいい、特に会社については会社法第4条に規定する「本店の所在地」をいう。
(4) 第2号の「その他の営業所」とは、主たる営業所の所在する都道府県の区域内に所在するものだけでなく、当該警備業者の有する全ての営業所をいう。

2 第3項関係
施行規則第6条の規定による認定しない旨の通知に係る理由の付記は、具体的な事実を摘示して行うこととなる。

第6 認定証の有効期間の更新(法第7条関係)
前記第5の2の規定は、認定証の有効期間を更新しない旨を通知する場合において準用する。

第7 認定の取消し(法第8条関係)

1 各号列記以外の部分関係
法第8条第1号に基づく認定の取消し及び法第3条各号(第7号を除く。)に規定する要件を満たさない者が不正の手段によらないで認定又は認定証の有効期間の更新を受けてしまった場合における法第8条第2号に基づく認定の取消しは、行政行為の成立そのものに瑕疵(かし)がある場合の取消しであるので、認定証を交付した公安委員会(認定証の有効期間の更新がされた場合は、当該更新をした公安委員会)が行うこととなり、法第8条第2号に基づく認定の取消しのうち、講学上の撤回に当たるもの(瑕疵(かし)なく成立した行政行為の新たな事情の発生に基づく取消しをいう。)並びに同条第3号及び第4号に基づく認定の取消しについては、その認定を存続させることが公益に適合するか否かを最も適切に判断できると認められる公安委員会が行うべきであることから、管轄区域を異にして主たる営業所が変更されている場合には、現に主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会が行うこととなる。

2 第3号関係
(1) 「正当な事由」がある場合とは、営業の意思があり、かつ、営業を行う能力が将来にわたって認められるにもかかわらず、自然災害の発生、病気等認定を受ける時点では予測し得なかった事態が発生したこと等合理的な理由により、営業を開始できず、又は営業を休止せざるを得ない状況になっている場合をいい、単に経営不振、資金繰りの見込み違い等により営業の開始又は再開が見込めないような場合は、「正当な事由」があるとはいえないことに留意すること。
(2) 「現に営業を営んでいないこと」の判断に当たっては、当該警備業者が警備業務を行っていないこと及び警備業務契約を締結していないことに加えて、次のような行為を行っていないことを確認すること。
なお、営業を営んでいることが客観的資料から裏付けられない者が営業を営んでいる旨を主張する場合には、法第46条の規定により営業活動の現況及び計画の報告を求める等して、虚偽の申立てでないことを確認すること。
ア 警備業務契約の締結を目的として、入札に参加したり、広告宣伝活動を行うこと。
イ 警備業務契約を締結した場合に備えて、警備員教育等を実施すること。
(3) ある区分の警備業務を行う旨の届出が行われている場合において、届出をしてから6月以内に営業を開始せず、又は6月以上営業を休止し、現に当該区分の営業を営んでいないと認められるときであっても、他の区分の警備業務が行われている場合には、認定の取消事由に該当しないことから、法第11条第1項及び第4項の規定による変更の届出を求め、これが行われないときは、指示又は営業の停止命令を行うこととなる。

3 第4号関係
「所在不明であること」とは、法第4条の認定自体が「警備業を営もうとする者」の申請により付与される行政庁の確認行為であることから、「警備業を営もうとする者」でなくなったと評価し得る実態が必要であると解される。したがって、個人業者が「所在不明」である場合とは、当該個人業者が、住民票に記載された住所地に居住していない事実に加えて、当該個人業者の親族、当該住所地の周囲に居住する人物等に対してその所在に関して聴取する等の必要な調査を行った結果、当該個人業者の所在について確認できない場合を指すと解され、法人業者が「所在不明」である場合とは、当該法人について、登記簿上法人格が存在するにもかかわらず、代表者その他の役員、株主等の所在が不明であって、法人の機関が機能し得ないことのほか、本店及び支店の実態、収支、財産、使用人等が存在しないこと等を総合的に勘案し、当該法人の事業活動(警備業以外の事業活動を含む。)が存在し得ないと判断される場合を指すと解される。

第8 営業所の届出等(法第9条関係)

1 法第9条の規定による営業所設置等届出書(施行規則別記様式第4号)は、主たる営業所の所在する都道府県以外の都道府県の区域内で、初めて「営業所を設け」ようとするとき又は「当該区域内で警備業務(内閣府令で定めるものを除く。)を行おうとするとき」に提出するものであり、既に当該届出書が提出されている公安委員会の管轄区域内に新たに営業所を設けようとするとき又は当該区域内で新たな警備業務を行おうとするときは、法第11条第4項の規定において準用する同条第1項の規定により法第11条第4項変更届出書(施行規則別記様式第7号)を提出することとなる。

2 施行規則第14条第1号の「継続して行う」とは、警備業務についての契約の相手方、業務実施場所、業務実施の方法等が一定している等、業務が続けて行われることが合理的に推測される場合をいう。
なお、日曜日、祝日等に業務を休むことがあっても継続して行うものといえる。

3 施行規則第14条第1号の「30日以内」の判断に当たっては、個々の契約が30日に満たないものであっても、当該都道府県の区域内において行われる警備業務が全体として30日を超える場合は、「30日以内」とはいえないことに留意すること。

第9 変更の届出(法第11条関係)

1 第1項関係
(1) 営業所に係る事項の変更の届出は、実在の営業所ごとに行う必要があるので、例えば、「その他の営業所」として設けられているA営業所を新たに「主たる営業所」とし、従前の「主たる営業所」であるB営業所を「その他の営業所」としてそれぞれ引き続き稼働させる場合には、A営業所及びB営業所のそれぞれについて法第11条第1項変更届出書(施行規則別記様式第6号)の別紙1の(1)を作成すべきことに留意すること。
(2) 複数の都道府県の区域内において警備業務を行っている場合には、変更事項により、次のとおり変更の届出先が異なることに留意すること。
ア 主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会への届出
(ア) 法第5条第1項各号に掲げる事項に変更があった場合には、法第11条第1項の規定により法第11条第1項変更届出書を主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に対し、当該営業所の所在地の所轄警察署長を経由して届け出ること。
(イ) 前記(ア)の場合以外で、主たる営業所の所在する都道府県の区域内で、当該都道府県の区域外に所在する営業所に係る警備業務を行うこととなり、又は当該営業所に係る警備業務を行わないこととなったときには、法第11条第4項において準用する同条第1項の規定により法第11条第4項変更届出書を主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に対し、当該営業所の所在地の所轄警察署長を経由して届け出ること。
イ 主たる営業所の所在する都道府県以外の都道府県の区域を管轄する公安委員会への届出
(ア) 法第10条の規定による警備業の廃止ではなく、一の都道府県の区域内において警備業務を行わないこととなった場合には、法第11条第4項において準用する同条第1項の規定により都道府県内廃止届出書(施行規則別記様式第8号)を当該都道府県の区域を管轄する公安委員会に対し、後記(ウ)の警察署長を経由して届け出ること。
なお、当該都道府県の区域内における警備業務の規模を順次縮小すること等により、施行規則第14条の警備業務のみを行うこととなった場合もこの届出を要することに留意すること。
(イ) 前記(ア)の場合以外で、施行規則第12条各号に掲げる事項に変更があったときには、法第11条第4項において準用する同条第1項の規定により法第11条第4項変更届出書を当該変更に係る公安委員会に対し、後記(ウ)の警察署長を経由して届け出ること。
(ウ) 主たる営業所の所在する都道府県以外の都道府県の区域を管轄する公安委員会に対する営業所設置等届出書の提出は、次に掲げる区分に応じ、それぞれに定める警察署長を経由して行うこと。
なお、これらの警察署長の管轄区域内において警備業務を行わないこととなったが、大阪府内の他の警察署長の管轄区域内では警備業務を引き続き行う場合には、施行規則第23条第2号及び第24条の規定により当該他の警察署長の名称を記載した書面を提出して、その警察署長を新たな経由警察署長とすべきこととなることに留意すること。
a 当該区域内にかつて主たる営業所が所在していた場合 都道府県の区域を異にして当該営業所を変更する前のその所在地の所轄警察署長
b 当該区域内に主たる営業所が所在したことがない場合 営業所設置等届出書(施行規則別記様式第4号)の提出に当たって経由した警察署長
(3) 変更事項が法第5条第1項第3号に掲げる事項である場合には、新たに選任する指導教育責任者について、法第22条第7項各号のいずれかに該当するか否かを添付書類等により確認すること。

2 第2項関係
(1) 法第11条第2項の規定による通知は、通常は、当該警備業者から営業所設置等届出書の提出を受けている公安委員会に対して行うこととなるが、都道府県の区域を異にして主たる営業所が変更されている場合には、認定等申請書の提出を受けている公安委員会に対しても行うこととなり得ることに留意すること。
なお、個別具体的な通知先となる公安委員会については、警備業者が提出する施行規則第19条第2号の書面によって把握することとなる。
(2) 法第11条第2項の規定による通知に係る事項は、同条第1項の規定により主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に対してのみ警備業者から届出が行われ、他の公安委員会は、当該通知が行われるまではその変更に係る事実を把握することができないので、当該届出を受けた警察署長は、速やかに変更に係る事項の調査(法人の役員を変更する場合にあっては、変更後の役員の法第3条第10号該当の有無の調査を含む。)を実施して保安課長に送付すること。
(3) 都道府県の区域を異にして主たる営業所を変更した場合には、変更後の主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に対して、施行規則第19条各号に掲げる書類を添付した法第11条第1項変更届出書を提出することとなるが、それ以前には警備業務が行われていなかった都道府県の区域内に新たに営業所を設け、その営業所を主たる営業所とする場合であれば、営業所設置等届出書も併せて提出すべきことに留意すること。
なお、変更前の主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に対しては、その管轄区域内において警備業務を行わないこととなった場合には、警備業者から都道府県内廃止届出書が提出され、変更後の主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会から法第11条第2項の規定による通知は行われないが、その管轄区域内で警備業務が引き続き行われる場合には、警備業者から法第11条第4項変更届出書が提出されるとともに、当該通知が行われることとなる。

3 第3項関係
認定証(施行規則別記様式第2号)には警備業者の氏名又は名称及び住所が記載されるので、これらの事項に変更があった警備業者は、法第11条第1項変更届出書を提出すること及び認定証の書換えを受けることが義務付けられているが、法第11条第1項変更届出書の提出は、現に主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に対して行うことを要し、認定証の書換えは、当該認定証を交付した公安委員会に対して申請することを要することから、都道府県の区域を異にして主たる営業所を変更してからまだ認定証の有効期間の更新を受けていない警備業者について、その氏名若しくは名称又は住所に変更があった場合には、変更届出先の公安委員会と書換え申請先の公安委員会が異なることとなることに留意すること。

第10 認定証の返納等(法第12条関係)
認定証の交付を受けた者が認定証を返納する場合は、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に認定証を返納し、法第9条の規定による届出をした公安委員会に法第12条第3項の規定による届出書を提出することとなることから、認定証を交付した公安委員会の管轄区域内に主たる営業所が所在しない場合は、当該公安委員会には、当該認定証は返納されず、また、法第9条の規定による届出をした公安委員会ではないため、法第12条第3項の規定による届出書も提出されないこととなることに留意すること。

第11 名義貸しの禁止(法第13条関係)
法第13条は、認定を受けていない者に名義を貸すことのみならず、認定を受けている者に名義を貸すことをも禁じた規定である。
なお、警備業者が委託を受けた警備業務の全般又は一部を他の警備業者に委託する場合には、その態様によっては、法で禁止されている名義貸しに当たるような形態で警備業務が行われ、警備業務の依頼者の信頼を損なうおそれがあるので、その点についても留意すること。

第12 警備員の制限(法第14条関係)

1 法第14条第2項は、警備業者は、欠格事由に該当している者を警備業務に従事させてはならないことを規定しており、これに伴い、警備業者は、警備員の欠格事由該当の有無を確認するため、一般私人として可能な範囲内で必要な調査をしなければならない。したがって、警備業者に対して、警備員の採用に当たっては、本人から欠格事由に該当しない旨の誓約書の提出を受けることに加えて、履歴書、診断書等の提出を受ける、面接調査を行う、前の警備業務に係る職場に問い合わせる等十分な措置をとるように指導すること。

2 法第47条の規定により営業所に立入検査を行う場合には、施行規則第66条第1項第1号に規定する警備員の名簿及び同項第2号に規定する警備業者が実際に講じた前記1の措置を記載した書類の備付け状況を検査し、不適格者が警備業務に従事することのないよう指導及び監督を的確に行うこと。

第13 警備業務実施の基本原則(法第15条関係)

1 「この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意する」とあるのは、警備業務が他人の身体、財産等の保護を行うものであることから、一見警察業務と類似性を有するが、警備業務は、営利を目的として特定人の依頼に基づいて特定人のためにのみ行うもので、公共の安全と秩序の維持に当たる警察業務とは本質を異にするものであり、その業務の実施に当たっては、あくまでも、私人のいわゆる管理権等の範囲内で行われるべきものであることを注意的に規定したものである。したがって、法の運用に当たっては、この趣旨を踏まえ、警備業者及び警備員が警備業務を行うに当たって特別の権限を有するものでないことを十分に指導すること。

2 「他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」とあるのは、刑罰法令等に抵触する行為はもとより、他人の権利及び自由を侵害する行為のほか、必ずしも明白な権利侵害に当たらない場合であっても個人又は団体の正当な活動に不当な影響を及ぼす行為については、これを禁止する趣旨であり、違反となる具体的な例は、次のとおりである。
なお、「正当な活動に干渉」に当たる場合の一般的基準は、相手の行為が合法的な活動であって、これに対し警備員等が威圧的言動その他の積極的行為を行い、その行為が周囲の諸状況から判断し相当性を欠くと認められるものである場合であるが、相手の行為が違法なものである場合には、干渉行為があっても「正当な活動に干渉」が行われたことにはならないが、その行為が限度を超え過剰防衛等に該当するに至った場合には、「他人の権利及び自由」の「侵害」に当たることに留意すること。
(1) 労働組合の適法な集会、デモ行進等の周辺で、大勢で長時間罵声を浴びせ、唾を吐きかける等の嫌がらせをすること。
(2) デパートで買物中の客に対し、疑うべき具体的な理由がないのにもかかわらず、携帯品の提出を求め、窃取したものでないことの証明を求めること。
(3) 依頼者の店頭に違法駐車をした者に対し、長時間の説教をし、又は始末書の提出を求めること。
(4) 窃盗犯人を現行犯逮捕して、長時間にわたり、所持品、身元等について調べること。

第14 服装(法第16条関係)

1 第1項関係
(1) 「明確に識別することができる服装」とは、一般通常人が一見して警察官又は海上保安官(以下「警察官等」という。)と誤認しない程度に異なっている服装をいい、具体的には、次のいずれかに該当するものをいう。
なお、ウの標章は、警備業者の名称を表示した標章(60平方センチメートル以上のもの)を上衣の胸部及び上腕部に付けるように指導すること。
ア 当該服装の色彩が警察官等の制服の色彩と明らかに異なるもの
イ 当該服装の型式が詰襟その他警察官等の制服の型式と明らかに異なるもの
ウ 警備員であることを示す相当程度の大きさの標章を当該服装の見やすい場所に付けているもの
(2) 警察官の制服については警察法(昭和29年法律第162号)第70条の規定に基づき警察官の服制に関する規則(昭和31年国公委規則第4号)に、海上保安官の制服については海上保安庁法(昭和23年法律第28号)第17条第3項の規定に基づき海上保安庁職員服制(昭和37年運輸省令第31号)に定められている。
(3) 施行規則第29条の「当該服装を用いて行う警備業務」の内容としては、服装届出書(施行規則別記様式第9号)の記載要領に示すとおり、当該警備業務の具体的な内容(例えば、「道路工事現場における車両誘導」、「高層ビルにおける常駐警備」等)のほか、当該警備業務が海上に及ぶ場合には、その旨を記載することになっているが、「警備業務が海上に及ぶ」とは、法第2条第1項に規定する警備業務を船舶を利用して行うことをいい、この場合には、海上保安官の制服と明確に識別できるものであるか否かを慎重に判断すること。
(4) 警備業者から警備員の制服について質疑があったときは、保安課と十分連絡をとって誤りのないように処理すること。

2 第2項関係
服装の変更の届出は、施行規則第28条第2項の規定により当該変更に係る服装の使用の開始の日の前日までに行わなければならないことに留意すること。

第15 護身用具(法第17条関係)

1 第1項関係
(1) 法第17条第1項において、警備業法第17条第1項の規定に基づく護身用具の携帯の禁止及び制限に関する規則(昭和47年公委規則第4号。以下「護身用具規則」という。)により護身用具の携帯を禁止し、又は制限することができることとなったのは、地域の実情によりその内容を異にする必要があることを考慮したものである。
(2) 護身用具の携帯については、護身用具規則により携帯が制限されていない場合であっても、昼間、携帯する必要性の乏しい場合等には携帯しないように指導すること。
(3) 護身用具規則でその携帯を禁止していない護身用具であっても、特定の警備業者の警備員がそれを用いて法第15条の規定に違反する行為を行ったような場合には、法第48条の規定により、その警備業者に対し、その護身用具の使用を一定期間禁止する等の指示処分の対象となる。

2 第2項関係
(1) 護身用具届出書(施行規則別記様式第10号)の使用基準欄には、例えば、次のように記載させること。
ア 夜間の巡回時に携帯する。
イ 不審者に襲撃された場合に、専ら防御のために使用する。
(2) 護身用具の変更の届出は、当該変更に係る護身用具の携帯の開始の日の前日までに行わなければならないことに留意すること。

第16 特定の種別の警備業務の実施(法第18条関係)

1 検定規則第1条第1号の「飛行場」には、「空港」のほか、設置者及び管理者のいかんを問わず、かつ、公共用又は非公共用の別を問わず、人が乗ることができる飛行機の離着陸の用に供する施設を含むが、専ら回転翼航空機(いわゆるヘリコプター、オートジャイロ等をいう。)、滑空機(いわゆるグライダーをいう。)又は飛行船のみの離着陸の用に供する施設を含まない。

2 検定規則第1条第1号の「航空機に持ち込まれる物件の検査」には、旅客が航空機内に携行する手荷物のほか、旅客が航空機内に携行することなく航空会社に預けて当該航空機によって運搬される手荷物の検査等を含む。

3 検定規則第1条第5号の「引火若しくは爆発又は空気中への飛散若しくは周辺地域への流出により人の生命、身体又は財産に対する危険が生ずるおそれがある物質(生物を含む。)」には、「核燃料物質及び核燃料物質によって汚染された物」のほか、放射性同位元素等の規制に関する法律(昭和32年法律第167号)第2条第2項に規定する放射性同位元素、化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(平成7年法律第65号)第2条第3項に規定する特定物質等を含む。

4 警備業者が特定の種別の警備業務に係る法第23条第4項の規定による合格証明書の交付を受けている警備員(以下「検定合格警備員」という。)に当該種別に係る警備業務を実施させるときは、当該警備業務を行っている間は常時、当該検定合格警備員が当該警備業務を実施していなければならない。ただし、業務上の必要のため、短時間当該警備業務を実施している場所を離れる等社会通念上当該警備業務を継続して実施しているものといえる場合は、この限りではない。

5 検定規則第2条の表の中欄において、一の種別について警備業務を実施させなければならない警備員として、「1級検定合格警備員」及び「1級検定合格警備員又は2級検定合格警備員」が掲げられている場合は、1人の1級検定合格警備員が両者を兼ねることはできない。

6 検定規則第2条の表の下欄において、検定合格警備員を配置しなければならないとされる場所、敷地、施設等で複数の警備業者が当該特定の種別の警備業務を実施する場合は、各警備業者ごとに特定の種別の警備業務の実施基準を満たさなければならない。

7 検定規則第2条の表1の項の下欄の「空港保安警備業務を行う場所ごと」とは、手荷物その他の航空機に持ち込まれる一の物件について、検査の案内、手荷物等検査用機械器具の操作、開披検査を要する物件と要しない物件の仕分、開披検査等の一連の業務が実施される場所ごとをいう。また、旅客が航空機内の携行する手荷物の検査の場合、一の手荷物の検査に係る一連の業務が実施されるいわゆる検査ゲートごとであり、複数の検査ゲートが近接して設置されているときでも、各検査ゲートごとに1級検定合格警備員の配置が必要である。ただし、ボディスキャナー(自動的に非接触で人体の表面の金属又は非金属の異物の存在を検知できる検査機器をいう。以下同じ。)、警備員が現場の状況を把握するためのカメラ等の機器の利用状況等を勘案し、当該機器の活用により業務が効率化及び省略化され、より広範囲について警備業務の実施の適正を確保できる場合には、隣接した2つの検査ゲートごとに1級検定合格警備員1人を配置する等、個別具体的に判断することとなる。

8 検定規則第2条の表3の項の下欄の「当該施設以外の当該空港の部分」とは、滑走路、管制塔、駐機場、貨物ターミナル施設等旅客ターミナル施設を除いた空港の敷地全体を一の部分とするものである。したがって、旅客ターミナル施設ごとに1人以上、かつ、旅客ターミナル施設を除いた空港の敷地全体を一の配置単位として、1人以上の1級検定合格警備員又は2級検定合格警備員の配置が必要である。

9 検定規則第2条の表7の項の下欄の「防護対象特定核燃料物質運搬車両」には、防護対象特定核燃料物質の管理者、運搬者等によって使用されている車両であっても、警備業者が核燃料物質等危険物運搬警備業務に使用していない車両を含まない。

10 検定規則第2条の表の備考第1号中「その他の機械器具」とは、例えば、ボディスキャナーをいう。

11 検定規則第2条の表の備考第1号中「情報通信技術の利用の状況」とは、例えば、防犯カメラ、人工知能(AI)等の情報通信技術の利用の状況をいう。

12 検定規則第2条の表の備考第2号において、雑踏警備業務を行う区域を特定するに当たり、利用の状況を勘案するものとされている「情報通信技術」とは、例えば、次に掲げるものをいう。
(1) 検定合格警備員が遠隔地の現場の状況を把握するためのカメラ、センサー及び小型無人機
(2) 警備員による状況の把握、分析及び判断等を補助するための画像認識(画像の中からある特徴を持つ形状を抽出し、対象物を認識することをいう。)、人工知能(AI)等のプログラム
(3) 警備員間の伝達のための通信機器

13 検定規則第2条の表の備考第1号及び第2号中「その他の事情」とは、例えば、空港の利用者数、警備の現場の構造等適正な警備業務を行う上で影響を及ぼすおそれのある事情をいう。

第17 書面の交付(法第19条関係)

1 第1項関係
(1) 法第19条第1項の規定により警備業務の依頼者に対して交付する契約の概要について記載した書面(以下「契約前書面」という。)は、一の書面であることを要せず、契約書、警備計画書、パンフレット等複数の書面によることは差し支えない。
(2) 契約前書面に記載すべき事項は、締結しようとする契約に含まれるものである。したがって、施行規則第33条の規定により契約前書面に記載しなければならないこととされる事項のうち、締結しようとする契約に含まれないものについては、当該事項について締結しようとする契約に含まれていない旨を記載すれば足りる。
(3) 「警備業務を行う日及び時間帯」(施行規則第33条第1号ロ)、「警備業務を行うこととする場所」(施行規則第33条第2号イ)、「警備業務を行う路程」(施行規則第33条第3号ロ)、「待機所から警備業務対象施設までの路程」(施行規則第33条第5号ハ)等について、締結しようとする契約の内容に応じ、「警備業務を実施するときまでに決める。」、「天候、交通事情等によって変更があり得る。」等を記載し、又は選択し得る複数の「日及び時間帯」、「場所」、「路程」等を記載して差し支えない。
(4) 施行規則第33条第1号ニの「担当業務」とは、例えば、法第2条第1項第1号に規定する警備業務(機械警備業務を除く。)にあっては防犯監視、出入監視、巡回監視等、法第2条第1項第1号に規定する警備業務のうちの機械警備業務にあっては防犯監視等、法第2条第1項第2号に規定する警備業務にあっては車両・歩行者の誘導、雑踏の整理等、法第2条第1項第4号に規定する警備業務にあっては自動車同乗、徒歩、建物内等の場所に応じた警備態様等をいう。
(5) 施行規則第33条第1号ホの「知識及び技能」とは、例えば、合格証明書の交付を受けていること、語学検定に合格していること、武道の段級位を有していること等をいう。
(6) 施行規則第33条第1号ヘの「服装」とは、制服又は私服の別をいう。
(7) 施行規則第33条第1号トの「機器又は各種資機材」とは、例えば、法第2条第1項第1号に規定する警備業務(機械警備業務を除く。)にあっては連絡用の無線装置、危険物発見用の金属探知機、エックス線透視装置等警備業務を実施するに当たって使用する機器又は各種資機材の種類、法第2条第1項第1号に規定する警備業務のうちの機械警備業務にあっては連絡用の無線装置、警備業務用車両等警備業務を実施するに当たって使用する機器又は各種資機材の種類のほか、事故の発生に関する情報を感知する機器の設置場所、種類その他警備業務用機械装置の概要又は送信機器の維持管理の方法、法第2条第1項第2号に規定する警備業務にあっては連絡用の無線装置、警備業務用車両、交通誘導用器材、携帯用拡声器等警備業務を実施するに当たって使用する機器又は各種資機材の種類、法第2条第1項第3号に規定する警備業務にあっては連絡用の無線装置、警備業務用車両(無線装置、防犯ブザー等の装置を搭載している場合は、その旨を含む。)等警備業務を実施するに当たって使用する機器又は各種資機材の種類、法第2条第1項第4号に規定する警備業務にあっては連絡用の無線装置、警備業務用車両等警備業務を実施するに当たって使用する機器又は各種資機材の種類をいう。
なお、機器又は各種資機材の種類については、具体的な型式又は性能まで記載する必要はない。
(8) 施行規則第33条第1号チの「鍵の管理に関する事項」とは、鍵の管理方法、貸出し方法等をいう。
(9) 施行規則第33条第1号ヌの「警備業務の依頼者への報告に関する事項」とは、警備報告書の作成及び提出に関する事項等をいう。
(10) 施行規則第33条第1号カの「警備業務の再委託に関する事項」とは、再委託の可否、再委託する警備業務の範囲並びに実際の警備業務を実施する警備業者の氏名又は名称、住所及び電話番号並びに法人にあっては代表者の氏名等をいう。
(11) 施行規則第33条第1号ネの「警備業務に係る苦情を受け付けるための窓口」とは、苦情の受付を担当する部署名、住所、電話番号等をいう。
(12) 施行規則第33条第1号ナの「特約があるときは、その内容」とは、例えば、警備業務対象施設の図面、警備対象物の内容及び運行経路、警備の対象となる人物の行動予定等の秘密の保持に関する事項があれば、その内容を記載する。
(13) 施行規則第33条第3号ロ及び同条第5号ハの「路程」とは、経路及び経路上の距離をいい、締結しようとする契約の内容に応じて記載すれば足りるものであって、想定し得る全ての路程を記載する必要はなく、地図によって示すことも可能であり、また、交通事情等を勘案して警備業者において適宜必要と認める路程等の記載でも差し支えない。
(14) 施行規則第33条第5号ハの「当該路程を記載することが困難な事情」とは、路程が複雑であるため、警備業務の依頼者が容易に理解できるように記載し難い場合等をいう。また、「通常要する時間」については、通常見込まれる時間が記載されていれば足り、幅のない所要時間は必ずしも要せず、例えば、「おおむね20分程度」、「25分以内の予定」等の記載で差し支えない。
(15) 施行規則第33条第5号ニの「送信機器の維持管理の方法」とは、定期点検の時期、内容等をいう。
(16) 施行規則第35条の「警備業務の依頼者が確実に当該書面の記載内容を了知する方法」とは、「警備業務の依頼者に当該書面を十分に読むべき旨を告げて交付する方法」のほか、警備業者が警備業務の依頼者に対し当該書面を読み聞かせる方法、警備業務の依頼者が当該書面を十分に読んだ場合にはその旨の記述及び署名を求める方法等をいう。

2 第2項関係
(1) 法第19条第2項の規定により警備業務の依頼者に対して交付する契約の内容を明らかにする書面(以下「契約後書面」という。)は、一の書面であることを要せず、契約書、警備計画書、パンフレット等複数の書面によることは差し支えない。
(2) 契約後書面に記載すべき事項は、締結した契約に含まれるものである。したがって、法第19条第2項及び施行規則第34条の規定により契約後書面に記載しなければならないこととされる事項のうち、締結した契約に含まれないものについては、当該事項について締結した契約に含まれていない旨を記載すれば足りる。
(3) 警備業務の依頼者と警備業務を行う契約を締結した者が、他の警備業者に当該警備業務の全部又は一部を再委託する契約を締結する場合には、当該他の警備業者は、当該警備業務を行う契約を締結した者に対して、契約前書面及び契約後書面を交付する必要がある。
(4) 契約後書面が契約前書面と同一の内容である場合にも、警備業者は法第19条第2項の規定により、契約後書面を警備業務の依頼者に交付しなければならない。この場合において、契約前書面を複写したものを契約後書面として交付することは差し支えない。
(5) 前記1の(3)及び(13)の規定は、契約後書面の場合において準用する。この場合において、同1の(3)及び(13)中「締結しようとする契約」は、「締結した契約」に読み替えるものとする。

3 第3項関係
(1) 施行規則第36条第1項第1号イに掲げる方法は、電子メールを利用する方法等をいう。
(2) 施行規則第36条第1項第1号ロに掲げる方法は、警備業者がホームページにおいて警備業務の依頼者の閲覧に供し、警備業務の依頼者がダウンロードする方法(同ロ括弧書中の方法にあっては、警備業務の依頼者が警備業者のホームページ中の掲示板に記録する方法等)等をいう。
(3) 施行規則第37条第2号の「ファイルへの記録の方式」とは、使用ソフトウェアの名称、バージョン等をいう。

第18 苦情の解決(法第20条関係)
法第20条の「依頼者等」とは、「依頼者」のほか、警備業務実施場所の周辺住民、通行者等をいう。

第19 警備業者等の責務(法第21条関係)

1 第1項関係
法第21条第1項において、警備業者及び警備員に対して警備業務に関する知識及び能力を向上させる努力義務を課したのは、警備業務が人の生命、身体、財産等を守ることを主な内容とする業務であり、警備員は、警備業務の実施に伴って発生する様々な事象に対し、適法、妥当かつ臨機応変に対応することを要求されるが、このような対応を瞬時の判断により的確に行うことができるためには、一般人の常識の範囲を超えた専門的な知識及び技能が必要とされることから、警備業務が適正に実施されるためには、これに直接従事する警備員が不断の努力を重ね、警備業務に関する専門的な知識及び技能を練磨し、厳正な規律に従って業務を行う必要があるからである。

2 第2項関係
(1) 法第21条第2項においては、警備業者にその警備員に対する教育等を法律で義務付けることにより、警備業務の適正な実施の確保を図ることとしているが、これは、警備業務の性格上、同条第1項の規定と相まって、これに直接従事する警備員に一定水準以上の専門的な知識及び技能を修得させ、警備業者の特別な注意義務に基づく指導及び監督の下に業務を行うようにさせる必要があると考えられたからである。これに伴い、警備業務は、労働者供給事業的形態で行われることはもとより、労働者派遣事業的形態で行われることも禁じられており(職業安定法(昭和22年法律第141号)第44条及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第4条第1項第3号)、警備業者は、自己が使用して警備業務に従事させる警備員に対しては、自らの責任において教育等を行わなければならず、当該警備員に対して、他の警備業者が既に教育等を行っていたとしても、そのことをもって、教育等の義務を免れることにはならない。
(2) 警備業者は、その責任において警備員教育を実施しなければならないが、その全てを自ら又はその従業員により行うことまでは要せず、その責任において実施するものであり、法又は施行規則に定めるところに反しない範囲で、次により、警備業者又はその従業者以外の者がその警備員に対して行う教育を警備員教育の一部と認め、教育時間数に算入することができる。
ア 警備業者又はその従業者以外の者がその警備員に対して行う教育(以下「部外実施教育」という。)のうち、警備員教育の教育時間数への算入が認められるものは、講義の方法又は実技訓練の方法で実施される基本教育又は業務別教育とする。ただし、実地教育の方法により行う業務別教育については、警備業務の実施の現場においてマンツーマン方式で行われる当該教育の方法の特性に鑑み、警備業者又はその従業者以外の者が実施することは適当でないため、警備員教育の教育時間数へ算入する対象から除外する。
イ 警備業務について高度な専門的知識及び技能を有する部外の講師等を招へいし、警備業者が使用し、又は管理する施設において実施する部外実施教育については、その教育事項等が施行規則第38条の定めるところに適合し、かつ、警備業者が、その指導教育責任者が作成する教育計画書に記載する教育計画に基づき、警備員の知識及び能力の水準に照らし適正かつ効果的に実施するものであれば、警備員教育の教育時間数への算入を認めるものとする。また、警備業者が使用し、又は管理する施設以外で実施する部外実施教育の警備員教育の教育時間数への算入については、次に掲げる者による部外実施教育であって、その教育事項等が施行規則第38条の定めるところに適合し、かつ、当該警備業者が、その指導教育責任者が作成する教育計画書に記載する教育計画に基づき、警備員の知識及び能力の水準に照らし、適切かつ効果的に実施するものである場合に限り認めるものとする。
(ア) 警備業務の適正な運用を確保し、公共の安全と秩序の維持に寄与することを目的とする一般社団法人、一般財団法人等で警備員及び警備業関係者に対する教育訓練に係る事業を行うもの
(イ) 中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)第3条第1号に規定する事業協同組合又は同条第1号の2に規定する事業協同小組合で、組合員の事業に関する知識の普及を図るための教育(中小企業等協同組合法第9条の2第1項第4号)をその事業とし、組合員である警備業者の警備員に対する警備員教育を行うもの
(ウ) 法第23条第3項の国家公安委員会の登録を受けたもの(以下「登録講習機関」という。)
(エ) 複数の警備業者がその警備員教育を共同して実施することを約することにより成立した民法上の組合その他の団体
(3) 警備会社の合併、分割等があった場合において、従前から警備業務に従事していた警備員を新たに使用することとなる警備業者が、改めて新任教育を行う必要があるか否かについては、原則として新任教育を要するが、当該警備員に教育を行っていた警備業者の事業の実態と当該警備員を新たに使用することとなる警備業者の事業の実態とに同一性が認められるときに限り、改めて新任教育を行う必要はないものとする。
(4) 「指導及び監督」とは、警備業者がその警備員を自己の責任において業務上及び身分上の指導及び監督を行う(警備業者がその被用者をして警備員を指揮及び監督させる場合を含む。)ことをいい、警備業務の実施の適正を図るために不可欠なものであるが、その具体的な基準については、警備業者の自らの警備実施要領又は依頼者との警備契約の内容によることはもとより、施行規則第38条第2項及び第3項その他の関係法令に従い、警備業の検定における業務内容、業界で共有される警備実施要領に沿う必要があるが、個別の警備業務に関する具体的な基準については、個別具体的に考えていくべき性質のものであり、警備対象施設の状況、警備業務の内容、警備員の性質、年齢及び勤務状態、地理的、気象的及び期間(時間)的条件等を総合的に勘案した上、社会通念上相当と認められる指導及び監督を行う必要がある。
(5) 前記(4)の指導及び監督を怠ると職業安定法第44条違反となることもあるが、特に、複数の警備業者が共同で警備業務を実施する場合には、次により十分留意しなければならない。
ア 警備業者が委託を受けた警備業務の全部又は一部を他の警備業者に委託する場合には、その態様によっては、委託を受けた警備業者がその警備員に対して行う指導及び監督に関し、法第21条第2項に違反する形態又は労働者供給若しくは労働者派遣に関する規制を免れる形態で警備業務が行われるおそれがあることから、その委託に係る警備業務が適正に行われているか否かについて、警備業者に対する指導を的確に行うこと。
イ 複数の警備業者が共同して警備業務の委託を受けた場合で、一の警備業務対象施設等(警備業務対象施設その他の警備業務が実施される場所をいう。)において警備業務を共同して実施するときは、一般的に共同企業体と称される一種の民法上の組合(以下「共同企業体」という。)を構成しているものと解されるが、この場合において、共同企業体の構成員間の任務分担及び責任関係が明確に定められていないときには、法第21条第2項の規定による指導及び監督が適正に行われない等、警備業務の実施の適正を害するおそれがあることから、共同企業体による警備業務の共同実施に当たっては、各警備業者が各々その者の雇用する警備員に対する指導及び監督を行うことはもとより、一の警備業務対象施設等における警備業務の実施の適正を確保し、警備業務の依頼者の保護を図るため、警備業務を共同して実施する構成員間の業務分担及び連絡調整が適正に行われるよう警備業者に対する指導を的確に行うこと。
なお、警備業務の委託又は共同実施が行われる場合には、警備業者の営業所の所在地を管轄する公安委員会と当該警備業務が行われる区域を管轄する公安委員会が異なり得ることから、これらの場合には、警備業者に対する指導及び監督を円滑に進めるため、関係する公安委員会は、密接に連携して、委託又は共同実施に係る警備業務が適正に実施されているか否かについて、確認することとなる。
(6) 施行規則第38条第1項の「必要に応じて行う警備業務に関する知識及び技能の向上のための教育」とは、基本教育及び業務別教育以外に行うものをいう。
(7) 施行規則第38条第2項の表の中欄の「警備員の資質の向上に関すること」とは警備業の現状及び社会的役割に関すること、警備員の使命及び心構えに関すること等を、「その他警備業務の適正な実施に必要な法令」とは憲法(基本的人権)、刑法(明治40年法律第45号)(正当防衛、緊急避難等)、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)(現行犯人の逮捕及び引渡し等)、遺失物法(平成18年法律第73号)等を、「応急の措置」とは警察機関への連絡のほか、負傷者に対する応急手当、避難誘導等を、「護身の方法」とは護身用具の使用方法のほか、護身術をいう。
(8) 施行規則第38条第3項に基づき行われる業務別教育は、当該警備員が従事しようとし、又は現に従事している警備業務の具体的な内容に即し、かつ、当該警備員の知識及び技能の程度に応じて行わなければならない。
(9) 施行規則第38条第2項及び第4項の表の備考欄の「当該教育についてこれ(指導教育責任者)と同等の知識経験がある者として国家公安委員会が定める者」は、警備員教育を行う者等を定める規程(平成8年国公委告示第21号)第1条及び第2条において定められている。
(10) 施行規則第38条第2項及び第3項の表の備考中の「講義の方法」は、具体的には次に掲げる方法によるものとする。
ア 警備員教育を行う者等を定める規程に定める警備員教育を行う者(以下「教育を行う者」という。)が、教本、視聴覚教材その他の必要な教材を用いて受講者と対面して行うもの
イ 教育を行う者が、電気通信回線を使用して受講者と非対面で行うもの
(11) 前記(10)のイの方法は、例えば、パーソナルコンピュータ等インターネット端末装置(以下「端末装置」という。)を利用した学習、テレビ会議システムを利用した遠隔講義等の電気通信回線を使用して行うものが該当するが、いずれの方法であっても、同(10)のアの方法と同等の教育効果を得ることができ、かつ、施行規則第38条第2項の表の備考第3号イからニまでの各要件を満たすものでなければならない。
(12) 前記(10)のイの方法による教育を行う場合は、教材の制作者に指定はなく、施行規則第38条第2項及び第3項に定める教育事項並びに同条第2項の表の備考第3号イからニまでの各要件を満たすものであれば、その視聴時間を教育時間数に算入することができる(設問の回答に必要な時間を含む。)。ただし、当該教材については、初回視聴時、早送りができないものである必要がある。
(13) 施行規則第38条第2項の表の備考第3号イの要件を満たすためには、受講開始前に、ユーザID、パスワード等を用いた本人確認を行う必要がある。
(14) 施行規則第38条第2項の表の備考第3号ロの要件を満たすためには、次に掲げる方法等により受講者の受講の状況を確認する必要がある。
ア 警備業者が使用し、又は管理する施設において実施する場合
教育を行う者が、講習中に最低1回、受講者の受講状況を目視、点呼、身分証明の提示等により確認を行う方法
イ 警備業者が使用し、又は管理する施設以外において実施する場合
(ア) 受講中に適宜、端末装置の内蔵カメラ等を利用して受講者の顔画像を撮影し、営業所等に送信させる方法
(イ) 受講中に適宜、端末装置上に表示される指示等に従い、携帯電話等を用いて受講状況を撮影させ、受講終了後にEメール等で営業所等に送信させる方法
(15) 施行規則第38条第2項の表の備考第3号ハの要件を満たすためには、教材中に講義内容に関する設問を設け、受講者に当該設問に対する回答を求めること及び教材視聴後に効果測定を行い、履修状況を確認すること等が必要である。
(16) 施行規則第38条第2項の表の備考第3号ニの要件を満たすためには、電子メール等により、受講者が教育を行う者に対し質問できる仕組み及び環境を構築すること等が必要である。
(17) 施行規則第38条第4項において、警備業者は、一定の要件を満たす警備員に対しては、新任教育義務の全部又は一部を免除されている。特に、次に掲げる者については、新任教育を行わなくてよいこととされているので留意すること。
ア 合格証明書の交付を受けている警備員で当該合格証明書に係る種別の警備業務に従事させようとするもの
イ 指導教育責任者資格者証の交付を受けている警備員で当該指導教育責任者資格者証に係る警備業務の区分の警備業務に従事させようとするもの
ウ 合格証明書又は指導教育責任者資格者証(法第2条第1項第1号の警備業務に係るものを除く。)及び機械警備業務管理者資格者証の交付を受けている警備員で機械警備業務に従事させようとするもの
(18) 施行規則第38条第5項において、警備業者は、一定の要件を満たす警備員に対しては、現任教育義務の全部又は一部を免除されている。特に、次に掲げる者については、現任教育を行わなくてよいこととされているので留意すること。
ア 1級合格証明書の交付を受けている警備員で当該合格証明書に係る種別の警備業務に従事させているもの
イ 指導教育責任者資格者証の交付を受けている警備員で当該指導教育責任者資格者証に係る警備業務の区分の警備業務に従事させているもの

第20 警備員指導教育責任者(法第22条関係)

1 第1項関係
(1) 「営業所(警備員の属さないものを除く。)」とあるのは、事業規模の大きい警備業者の多くの営業所のうちには、主たる営業所又は多数の営業所を指揮統轄する支社のように警備員が所属しない営業所が例外的に存することが想定されるからである。
(2) 施行規則第39条第1項の「営業所ごと及び当該営業所において取り扱う警備業務の区分ごとに、専任」とは、その営業所に常勤して指導教育責任者の業務に従事し得る状態にあることをいう。したがって、他の営業所と掛け持ちしている場合、他に職業を持っていて通常の営業時間にその営業所に勤務できない場合等は、専任とはいえないが、指導教育責任者の業務のみに専従することまで必要とするものではなく、指導教育責任者の業務に支障のない範囲で、警備業務に従事したり、当該営業所の他の業務に従事するものであってもよい。
(3) 施行規則第39条第2項の規定により、指導教育責任者は複数の警備業務の区分の指導教育責任者を兼ねることができる。ただし、当該警備業務の区分ごとに属する警備員が相当数となるような営業所については、各区分ごとに指導教育責任者を選任することが望ましい。
(4) 施行規則第39条第3項の「近接する」とは、2つの営業所における指導及び教育に関する業務を適時適切に行うことができる距離にあることをいい、おおむね片道1時間以内で行くことができる距離にあることが必要である。
(5) 施行規則第39条第3項の「公安委員会の承認」は、「近接する営業所」及び「その属する警備員が5人以下」の要件を満たし、当該指導教育責任者が当該営業所において取り扱う警備業務の区分に係る指導教育責任者資格者証の交付を受けており、かつ、当該指導教育責任者による警備員に対する指導及び教育が十分に行われると認められる場合のみ行うので、兼任の承認の申出があったときは、疎明資料を添えて保安課長に送付すること。
なお、兼任を認めることにより当該指導教育責任者が3以上の営業所の指導教育責任者を兼ねることとなる場合には、兼任は認めない。
(6) 前記(5)の兼任の承認の申出があった場合で、専任の指導教育責任者の置かれている営業所が他の都道府県の区域内に所在するときは、保安課に連絡すること。
(7) 施行規則第40条第2号の「警備員教育の実施を管理すること」とは、自ら警備員教育を実施することのほか、他の者による警備員教育の実施について必要な指導、実施状況の把握等を行うことをいう。

2 第2項関係
(1) 第2号の「同等以上の知識及び能力を有すると認める者」の認定の基準は、講習等規則第8条の規定のとおりである。
なお、講習等規則第8条第1号の「警備員の指導及び教育について十分能力を有する」とは、実際に警備員を指導し、及び教育した経験が相当にあり、かつ、指導教育責任者としてふさわしい人格識見があること等をいう。
(2) 第2号の認定は、指導教育責任者資格者証の交付の申請があった際に行うものであり、認定だけを独立して申請させるものではないことに留意すること。
(3) 施行規則第42条第3項第1号に規定する法第22条第2項第1号に掲げる者に該当することを証する書面は、警備員指導教育責任者講習修了証明書(講習等規則別記様式第2号)とする。
(4) 施行規則第42条第3項第1号に規定する法第22条第2項第2号に掲げる者に該当することについての国家公安委員会規則で定める基準に適合することを証する書面は、講習等規則第8条各号に掲げる者のいずれかに該当することを証する申請者の勤務している警備業者の証明書等とする。
(5) 講習等規則第8条第2号の認定は、次の基準のいずれかにより行うので、認定に必要な資料を添えて保安課長に送付すること。
ア 警視以上の警察官であった者で、警備員の指導及び教育に関する業務における管理的又は監督的地位にあった期間が通算して3年以上であり、かつ、警備員の指導及び教育について十分な能力を有すると認められるもの
イ 警察官であった者で、その在職中警備業の指導及び監督に関する業務に直接従事した期間が3年以上であり、かつ、警備員の指導及び教育について十分な能力を有すると認められるもの
ウ その他警備業務に関する相当な知識を有し、かつ、警備員の指導及び教育について十分な能力を有すると認められる者

第21 検定(法第23条関係)

1 検定規則第8条第1号の「当該種別の警備業務に従事し」とは、当該合格証明書に係る種別の警備業務に従事していることをいい、警備業者の使用人であっても、営業、会計等の事務に従事している場合は、「警備業務に従事し」とはいえず、また、当該種別の警備業務の管理又は監督に従事している者で、法第45条に規定する警備員名簿に登載され、警備現場において具体的な指揮命令を行っているものは、「警備業務に従事し」に該当することに留意すること。

2 検定規則第8条第1号の「従事した期間が1年以上」とは、合格証明書の交付を受けて以降、通算して1年以上当該種別の警備業務に従事した期間があることをいう。この場合において、同一の警備業者の下でなくても、通算して1年以上当該種別の警備業務に従事していれば足りる。

3 検定規則第8条第2号の認定は、次の基準のいずれかにより行うので、認定に必要な資料を添えて保安課長に送付すること。
(1) 検定を受けようとする警備業務の種別について2級の検定に係る合格証明書の交付を受けている者であって、当該警備業務の種別に係る検定規則附則第3条の規定による廃止前の警備員等の検定に関する規則(昭和61年国公委規則第5号。以下「旧検定規則」という。)第1条第2項に規定する2級の検定に合格した後、当該警備業務に従事した期間が1年以上であるもの
(2) 旧検定規則第12条の指定講習の講師として委嘱されていた者で、当該警備業務を実施するために必要な専門的な知識及び能力を有すると認められるもの
(3) 警察官の職にあった期間が継続して3年以上である者で、当該警備業務を実施するために必要な専門的な知識及び能力を有すると認められるもの
(4) 登録講習機関が行う講習会の講師として委嘱されている者で、当該警備業務を実施するために必要な専門的な知識及び能力を有すると認められるもの
(5) 前記(1)から(4)までに掲げる者に準ずる者で、当該警備業務を実施するために必要な専門的な知識及び能力を有すると認められるもの

第22 講習会を行おうとする者(法第24条関係)
「講習会を行おうとする者」として国家公安委員会の登録を受けた者は、次のとおりである。
(1) 一般社団法人警備員特別講習事業センター
(2) 有限会社航空保安警備教育システム
(3) 特定非営利活動法人警備人材育成センター

第23 機械警備業務の届出(法第40条関係)

1 基地局とは、受信機器を設置する施設であるが、当該受信機器が単に情報のモニターのためだけのものである場合は、含まれない。

2 届出は、当該都道府県の区域内に基地局又は警備業務対象施設のいずれか一方のみが所在する場合にも行われなければならないことに留意すること。

第24 機械警備業務に係る廃止等の届出(法第41条関係)

1 都道府県内廃止届出書は、機械警備業務については、当該都道府県の区域内における基地局及び警備業務対象施設が全てなくなった場合のみ提出すべきことに留意すること。

2 機械警備業者は、機械警備業務の開始に当たっては、その氏名又は名称、住所及び代表者の氏名を届け出ることとされているが、その変更があった場合の届出は、法第11条第1項変更届出書により、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に対してのみ行われる。したがって、他の公安委員会が当該変更に係る事実を把握する方法は、法第11条第2項の規定により、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会が行う通知であることに留意すること。

3 機械警備業務変更届出書(施行規則別記様式第19号)の提出は、機械警備業務開始届出書(施行規則別記様式第18号)の提出に当たって経由した警察署長を経由して行われるものとされているが、当該警察署長の管轄区域内において機械警備業務を行わないこととなったが、当該都道府県警察の他の警察署長の管轄区域内では引き続き機械警備業務を行う場合には、当該他の警察署長の名称を記載した書面を提出して、その警察署長を新たな経由警察署長とすべきこととなることに留意すること(施行規則第58条第2号及び第59条)。

第25 機械警備業務管理者(法第42条関係)

1 第1項関係
(1) 施行規則第60条の「基地局ごとに選任」とは、その基地局に常勤して機械警備業務管理者の業務に従事し得る状態にあることをいう。したがって、他の基地局と掛け持ちしている場合、他に職業を持っていて通常の営業時間にその基地局に勤務できない場合等は、専任とはいえないが、機械警備業務管理者の業務のみに専従することまで必要とするものではなく、機械警備業務管理者の業務に支障のない範囲で、警備業務に従事したり、当該基地局の他の業務に従事するものであってもよい。
(2) 施行規則第61条第1号の「警備業務用機械装置の維持管理」とは、警備業務用機械装置の日常的な維持管理のほか、軽易な故障の際の応急的な修理等をいい、「計画」とは、警戒業務に従事する警備員の勤務予定、警備業務用機械装置の定期的な点検の予定、故障の際にとるべき措置についての定め等をいう。

2 第2項関係
(1) 講習等規則第14条第1号の「機械警備業務の管理について十分な能力を有する」とは、実際に警備業務用機械装置の運用の監督、指令業務の統制等機械警備業務の管理に関する業務に従事した経験が相当にあり、かつ、機械警備業務管理者としてふさわしい高度な判断能力を有すること等をいう。
(2) 第2号の認定は、機械警備業務管理者資格者証の交付の申請があった際に行うものであり、認定だけを独立して申請させるものではないことに留意すること。
(3) 機械警備業務において常に迅速かつ的確な対応がなされるためには、より高度な専門的知識等を有する者によって運営される必要があり、機械警備業務管理者は、機械警備業務管理者講習を受けた者であることが望ましいことから、第2号の認定は、警察庁と緊密な連絡を取りながら慎重に運用する必要があるので、同号による機械警備業務管理者資格者証の交付の申請を受けたときは、保安課と協議すること。
(4) 施行規則第63条第1項において読み替えて準用する施行規則第42条第3項第1号に規定する法第42条第2項第1号に掲げる者に該当することを証する書面は、機械警備業務管理者講習修了証明書(講習等規則別記様式第5号)とする。
(5) 施行規則第63条第1項において読み替えて準用する施行規則第42条第3項第1号に規定する法第42条第2項第2号に掲げる者に該当することについての国家公安委員会規則で定める基準に適合することを証する書面は、講習等規則第14条各号に掲げる者のいずれかに該当することを証する申請者の勤務している警備業者の証明書等とする。
(6) 講習等規則第14条第2号の認定は、次の基準により行うので、認定に必要な資料を添えて、保安課長に送付すること。
ア 警部以上の警察官であった者で、機械警備業務の管理に関する業務における管理的又は監督的地位にあった期間が通算して3年以上あり、かつ、機械警備業務の管理について十分な能力を有すると認められるもの
イ 警察官であった者で、その在職中機械警備業の指導及び監督に関する業務に直接従事した期間が通算して3年以上であり、かつ、機械警備業務の管理について十分な能力を有すると認められるもの
ウ その他機械警備業務に関する相当な知識を有し、かつ、機械警備業務の管理について十分な能力を有すると認められる者

3 第3項関係
法第42条第3項において読み替えて準用する法第22条第4項に規定する機械警備業務管理者資格者証の交付に係る欠格事由及び法第42条第3項において読み替えて準用する法第22条第7項に規定する返納命令事由には、指導教育責任者資格者証の場合の欠格事由及び返納命令事由以外に、要件規則第3条第2項に規定する精神機能の障害により機械警備業務管理者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者が含まれることに留意すること。
なお、その該当の有無については、前記第3の7に準じて判断すること。

第26 即応体制の整備(法第43条関係)

1 「その他の必要な措置」とは、警察機関への連絡、基地局への連絡、現場保存等をいう。

2 「待機所」とは、警備員の待機する施設をいい、駐車場の一画を継続的に使用する場合等建造物でない場合も含まれるが、路上に駐車して待機する場合等場所の定まらない場合は含まれない。

3 「その他の装備」とは、無線機、懐中電灯等をいう。

4 即応体制基準規則の運用は、次により行うこと。
(1) 即応体制基準規則は、大阪府内に所在する警備業務対象施設について適用するが、基準を満たすか否かの判断は、他の府県の区域内に所在する待機所、警備業務対象施設等の状況も勘案して行うので留意すること。
(2) 即応体制基準規則第2条の「へき地」とは、離島、山間部等のうち、孤立した地域をいう。
(3) 即応体制基準規則第2条の「大阪府公安委員会が認めた警備業務対象施設」とは、へき地等に所在し、周辺に待機所を配置することが通常期待できない警備業務対象施設地域について、当該警備業務対象施設若しくは近隣に居住する管理者又はその委託を受けている者に連絡して、その者が事実の確認をするという取決めがある場合等機械警備業者において、十分な措置が講じられる場合に認定するものとする。
(4) 前記(3)の認定は、機械警備業者の個別の申請に基づいて行うので、認定申請の申出があった場合は、保安課と連絡を密にすること。

第27 基地局の備付け書類(法第44条関係)

1 法第44条第2号及び施行規則第64条第1項第3号に掲げる事項は、同一の書類中に記載するように指導すること。

2 施行規則第64条第1項第1号に掲げる事項は、次に定めるところにより記載するように指導すること。
(1) 基地局及び待機所は、その位置に印を付け、名称を付記すること。
(2) 警備業務対象施設の所在する地域については、いずれの待機所の管轄に属するかが明確に分かるように色分け等の方法により記載すること。
(3) 地図は、当該記載事項が明確に分かるような規格のものを用いること。

3 施行規則第64条第1項第4号の「その他の装備」とは、法第43条に規定するものと同じであり、無線機、懐中電灯等をいい、護身用具は含まれないことに留意すること。

4 施行規則第64条第1項第5号の「その情報に応じて講じた措置」とは、警備員に対する指令、警察機関への連絡等をいい、その時刻についても記載するように指導することをいう。また、「その結果」とは、当該盗難等の事故の内容、警察官への引継ぎの状況、誤発報であったこと等をいい、警備員を現場臨場させた場合には、当該受信の時から警備員が現場に到着する時までに要した時間の記載も要するので、基地局への立入検査に当たっては、これらの記載の状況を検査し、確実かつ正確な記載が行われるよう指導及び監督を的確に行うこと。

第28 警備員の名簿等(法第45条関係)

1 施行規則第66条第1項第1号ハに掲げる事項は、例えば、「○○市内の道路工事現場における車両の誘導」又は「○○市○○町○○の××ビルにおける常駐警備」のように、当該警備業務の具体的内容のほか、その行われる場所又は地域についても記載するように指導すること。

2 施行規則第66条第1項第1号ニ(5)の合格証明書に係る「その他国家公安委員会規則で定める事項」は、当該合格証明書に係る級である(検定規則第21条)。

3 施行規則第66条第1項第5号及び第6号の警備員教育に係る「内容」とは、施行規則第38条第2項の表の中欄及び第3項の表の下欄についての細目をいい、「方法」とは、施行規則第38条第2項の表の備考欄及び第4項の表の備考欄に規定する講義の方法、実技訓練の方法又は実地教育の方法をいう。

4 施行規則第66条第1項第6号の規定は、警備員教育の実施者に対して同号に係る書類の記載事項について誤りのないことを確認することを義務付けているが、当該実施者が確認の義務を負うのは、当該実施者が実施した警備員教育に係る記載事項のみである。

第29 報告の徴収及び立入検査(法第46条・第47条関係)

1 報告の徴収及び立入検査の実施に当たっては、法の目的と関係のない事項に及ぶ等無用の負担を掛けることがないように配意すること。

2 報告又は資料の提出の要求は、施行規則第69条の規定により原則として書面により行わなければならないが、当該書面に記載する要求の理由については、要求の目的が具体的に分かる程度の内容を記載すること。
なお、緊急を要し、書面により行ういとまがない特別の事情がある場合には、口頭で行うことも許される。

3 立入検査に当たっては、次に掲げる事項に留意すること。
(1) 立入りの対象となる待機所は、機械警備業務に係る待機所に限られず、一般の警備員詰所等も含まれる。
なお、警備業務対象施設内の単なる休憩所等は、待機所には含まれない。
(2) 公安委員会の管轄区域内における警備業務の実施の適正を図るため必要があるときは、他の公安委員会の管轄区域内に所在する営業所等(例えば、隣県の営業所から警備員が出向いてきて警備業務を行っている場合における当該営業所等)についても立入検査ができる。この場合においては、当該他の公安委員会と緊密な連絡を行う必要があるので、保安課と連絡を密にすること。

第30 指示(法第48条関係)

1 公安委員会は、その管轄区域内はもとより、管轄区域外で警備業者又はその警備員が違反行為をした場合でも自らの管轄区域内における警備業務の適正な実施が害されるおそれがあると認められるときは、指示をすることができ、また、警備業者が二以上の都道府県の区域内における警備業務に係る営業を行っている場合には、A公安委員会が警備業者に対し指示をすることで、違反状態の解消等がされ、その結果として、当該警備業者がB公安委員会の管轄区域内で行う警備業務の実施の適正が図られる等、同一又は重複する内容の指示を複数の公安委員会が行い得ることが十分あり得るところであるが、このような指示については、違反行為に係る事実を十分に把握して最も適切に判断できると認められる公安委員会が行うべきであることから、原則として、違反行為が行われた場所を管轄する公安委員会が行うこととなる。

2 即応体制基準規則で定める基準に適合しない場合は、法第43条の規定の違反となり、「この法律」に違反したという要件を満たすことに留意すること。

3 「警備業務の適正な実施が害されるおそれがあると認められるとき」とは、法令違反の状態が現存している場合のほか、その違反の状態は現存していないが、その違反の原因となった事由が存続しており、その違反が偶然的なものではなく、繰り返されるおそれがあるような場合をいう。

第31 営業の停止等(法第49条関係)

1 第1項関係
(1) 公安委員会は、その管轄区域内はもとより、管轄区域外で警備業者又はその警備員が違反行為をした場合でも、自らの管轄区域内における警備業務の適正な実施が著しく害されるおそれがあると認められるときは、営業停止命令をすることができるが、営業停止命令の権限とその効果は、「当該公安委員会の管轄区域内における警備業務に係る営業」の停止に限定されており、同一又は重複する内容の処分を複数の公安委員会が行い得るものではない。このため、例えば、A県の営業所からB県内に警備員が出向いてきて警備業務を行っている場合に、当該営業所について違反行為が行われたとしても、A県の区域を管轄する公安委員会はA県内における警備業務に係る営業の停止しか命ずることができず、B県の区域を管轄する公安委員会はB県内における警備業務に係る営業の停止しか命ずることができないので、当該営業所に係る営業の全てを停止するには、両方の公安委員会がそれぞれ営業停止命令をしなければならないこととなることに留意すること。
(2) 「警備業務の適正な実施が著しく害されるおそれがあると認められるとき」とは、当該警備業者が引き続き警備業務を行った場合には、警備業務の実施に伴って違法若しくは不当な事態が発生する蓋然性が極めて高いと認められるとき又は著しく不適切な警備業務の実施が継続的に行われることが予想されるようなときをいう。例えば、法第15条の違反が警備業者の経営方針に従って行われた場合、法第21条の違反が余りにも著しく、営業を継続したまま改善することが困難である場合等である。
(3) 「一部の停止」とは、当該公安委員会の管轄区域内に2以上の営業所を有し、それぞれの分担区域を設けているような場合において、その一方の営業所に係る営業についてのみ停止を命じたり、特定の種類の警備業務に係る営業についてのみ停止を命じたりするような場合をいう。

2 第2項関係
(1) 法第49条第2項各号に該当する者が警備業を営んでいる都道府県の区域を管轄する公安委員会がその者に営業の廃止を命令することが通常であるが、これに限られるものではなく、認知した公安委員会は、営業の廃止を命令することができる。例えば、同項第1号に該当する者に対して同号に規定する通知をした公安委員会又は同項第2号に該当する者に対して同号に規定する認定の取消しをした公安委員会が認知した公安委員会と異なる場合でも、それぞれ必要に応じて命令することは可能である。
(2) 営業の廃止の命令をした公安委員会は、他の全ての公安委員会を代表して権限を行使したものと解することができ、その効力は全国に及ぶ。したがって、営業の廃止の命令を受けた者が、命令をした公安委員会の管轄区域外でその警備業を営んだ場合にも、命令違反に当たる。
(3) 営業の廃止の命令は、認定を受けていない者について適用される処分であることに留意すること。

第32 行政手続法の適用除外(法第51条関係)
「あらかじめ指定する医師」とは、警備業法第51条の規定により公安委員会が指定する医師の指定の基準等を定める規則(平成15年公委規則第4号)第3条の規定に基づき公示された医師をいう。