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大阪府警察施設類型別計画_交通安全施設編

交通安全施設編

第1 目的等

1 目的

本編における対象施設は、交通安全施設であり、本計画は、これらを最適な状態で維持、管理及び運営するための整備計画である。
本計画の取組期間は、平成28年度から平成37年度までの10年間とし、取組の進捗状況を毎年度検証し、おおむね3年が経過した時点で必要に応じ見直す。

「交通安全施設」とは、交通の安全と円滑及び交通公害の防止を図るために、道路利用者のすべてを対象として設置される施設をいう。
これらの施設は都道府県公安委員会が設置する交通信号機、道路標識、道路標示及び交通管制センターと、道路管理者の設置する横断歩道橋(地下横断歩道)、歩道、自転車道、柵(防護柵)、街灯(道路照明)、視線誘導標、道路反射鏡、区画線等がある。
本編で対象としているのは、交通安全施設の中でも、都道府県(大阪府)公安委員会が設置する施設である。

2 役割

交通規制は、交通ルールの設定によって道路交通の安全と円滑を図り、交通事故を防止する重要な手段であり、交通安全施設は、その交通ルールを外部に表現する唯一の法的手段である。
交通安全施設は、安全、安心な道路交通環境実現のためには欠かせない施設であり、例年地域住民等からも多くの設置要望が寄せられている。

第2 現状と課題

1 交通安全施設の現状

交通安全施設は、高度経済成長期に大量かつ集中的に整備された道路上に、その整備に併せて大量に設置されてきたものであり、その老朽化が進んでいるなか、使用年数を超過した交通安全施設を継続して使用している状況である。
また、施設の種別によって使用年数が異なり、設置場所等の諸条件により老朽化の度合いも様々であることから、管理方法が複雑になっている。

平成27年度末時点における交通安全施設主要物件の数量を示すと、

交通信号機では、
  • 交通信号制御機が11,911機
  • 交通信号柱の鋼管柱が47,358本、コンクリート柱が4,911本、合わせて52,269本
  • 車両用信号灯器のLED式が46,392灯、電球式が33,870灯、合わせて80,262灯
  • 歩行者用信号灯器のLED式が38,146灯、電球式が26,392灯、合わせて64,538灯
道路標識では、
  • 灯火式を含む可変式道路標識が576本、同じく固定式道路標識が197,954本
  • 路上式と路側式に区分した場合では、路上式が37,134本、路側式が161,396本
道路標示では、
  • 横断歩道が50,439本
  • 実線標示が8,536キロメートル
  • 図示標示が244,165箇所
管制端末では、
  • 情報収集提供装置(光ビーコン)が4,741基
  • 車両感知器が8,810基、
  • 交通情報板が201基
  • 交通監視用カメラが219台

である。

交通信号機を例に挙げ、その使用年数の比較及び使用年数を超過した施設数を示すと、平成27年度末時点において、

  • 交通信号制御機の使用年数が19年、使用年数超過数は2,801機、超過数占有率は23.52%
  • 交通信号鋼管柱の使用年数が35年、使用年数超過数は9,459本、超過数占有率は19.97%
  • 交通信号コンクリート柱の使用年数が45年、使用年数超過数は1,134本、超過数占有率は23.09%
  • 車両用信号灯器(電球式)の使用年数が30年、使用年数超過数は11,809灯、超過数占有率は14.71%
  • 歩行者用信号灯器(電球式)の使用年数が30年、使用年数超過数は7,946灯、超過数占有率は12.31%

となる。

なお、交通信号柱に関しては設置場所の環境によって柱の根本の腐食度合い等に差異が見られることが多く、老朽化の度合いが異なるため、使用年数を超過しなくても更新が必要となる場合がある。

2 課題

交通安全施設の老朽化は急速に進んでおり、使用年数を超過した施設に対しての整備更新が追いついていない状況である。使用年数を超過することで、直ちに交通安全施設の機能が維持できなくなることはないが、時間の経過とともに老朽化が著しくなることで、

  • 交通信号灯器の滅灯
  • 交通信号柱・道路標識柱の倒壊
  • 道路標示の摩耗による視認性の悪化

等、安全で円滑な道路交通に支障をもたらす事態を引き起こす可能性が大きくなる。
府民等に危険を及ぼす事故が発生してからの事後保全では遅いため、施設の老朽化によって事故を発生させないよう点検体制の充実を図り、不具合が発生する前に予防的に改修や更新を行う仕組みを構築する必要がある。

第3 取組方針

1 長寿命化に向けた取組方針

(1)長寿命化の検討

交通安全施設の長寿命化を図るためには、使用する部材に特殊な塗装を施したり、路側式道路標識柱内に鉄芯を挿入する等、抜本的な材料や仕様等の見直しが効果的であることから、下表の取組に続き、今後も長寿命化を推進する。

交通信号機は、
  • 平成22年度から二重管仕様で建柱し、表面の腐食が進行しても即時に倒壊する可能性を低減させ、加えて地際部分に防蝕塗装を施すことで、雨水や動物の尿による腐食への耐性を強化した。
  • 電球式からLED式へ高度化することにより、1年ごとの球替えが不要になることに加え、軽量化も図ることができ、交通信号灯器本体や交通信号柱への過重負担を軽減させた。
道路標識は、
  • オーバーハング式道路標識柱は、平成15年度から溶融亜鉛メッキ仕様に変更し、腐食防止への対策を図った。
  • 路側式道路標識柱は、前述の溶融亜鉛メッキ仕様に加え、平成20年度から柱内へ鉄芯を挿入する仕様に変更し、表面の腐食が進行しても即時に倒壊する可能性を低減させた。
道路標示は、
  • ガラスビーズを混入することで摩耗による減損を抑え、耐久性を向上させた。
  • 溶融式の塗料を2ミリメートル以上に厚塗りさせる仕様にすることで、摩耗等への耐久性を上げ、長寿命化を図った。

また、交通信号制御機、交通情報板といった電子機器関係は外見上の判断が困難なため、計画的な維持管理・更新と並行して、長寿命化につながるような技術があれば積極的にその採用を検討する。

(2)更新基準

限られた財源状況から、使用年数を超過した交通安全施設を全て更新することは困難であり、使用年数と点検結果を踏まえて更新を図っていく。
交通信号機、道路標識及び道路標示、交通監視用カメラ等の交通情報を収集及び提供するための装置等については、職員による定期的な目視点検等を実施し、加えて交通信号機や可変式及び灯火式道路標識、交通監視用カメラ等の電源が伴う施設については、委託業者による専門的視点での点検を実施している。
それらの点検結果を踏まえつつ、海沿い等、設置箇所による老朽化要素の軽重も勘案しながら、更新箇所を選定する。
なお、委託業者による点検は、老朽化の度合いにより倒壊、落下の危険性が一番低いものを「Aランク」とし、「Eランク」までの五段階で診断を行わせ、倒壊、落下の危険性が認められる「Eランク」の施設が見つかった場合には、可及的速やかに更新または撤去を行う。
また、「Dランク」については、職員が現場で再度確認を行い、必要があれば確認内容を点検業者へフィードバックしてランク付けの評価に齟齬がでないよう情報交換する等、適切な維持管理を推進する。(ランクは、次頁の「点検結果報告基準表」に基づく。)

点検委託においては、これまでも予防保全の観点から目視、打音、触診のほか、交通信号制御機の電圧検査、コンクリート柱の非破壊検査等、点検内容を充実させているとともに、点検結果のランクの細分化を行う等、点検委託契約の更新ごとに仕様書をより良いものへ変更し、点検の実効性の向上に努めている。
なお、点検委託による点検結果は、データ集約、管理を行い、以後の維持管理に活用する。

点検結果報告基準は次のとおりとなる。

  • 交通信号柱、感知器柱、専用柱のランク区分は、外観等と基礎部分で判断する。
  • 材質がコンクリートの場合の外観等がAランクは異常なし、Bランクは亀裂がある、Cランクは亀裂があり鉄筋が見えている、DとEランクは亀裂があり鉄筋の腐食が著しい、老朽化コンクリート柱が機器による点検の結果、鉄筋の破断等が認められた場合となる。
  • 材質が鋼鉄の場合の外観がAランクは異常なし、Bランクは軽度の腐食がある、Cランクは腐食により柱(腐食部)が細くなっている、DとEランクは腐食により穴が開いている場合となる。
  • 基礎部分がAランクは異常なし、Bランクは小さなひび割れがある、Cランクは大きなひび割れがある、DとEランクは柱を揺らすとグラグラする場合となる。
  • スタンド式交通信号灯器のランク区分はポールの外観と基礎部分で判断する。
  • 外観がAランクは異常なし、Bランクは軽度の腐食がある、揺すってもグラグラしない、Cランクは腐食により柱(腐食部)が細くなっている、DとEランクは腐食により穴が開いている、揺するとグラグラする場合となる。
  • 基礎部分がAランクは異常なし、Bランクは小さなひび割れがある、Cランクは大きなひび割れがある、柱を揺すると少しグラグラする、DとEランクは柱を揺らすとグラグラする場合となる。
  • 交通信号灯器は全体の腐食度合い、灯箱とレンズの外観で判断する。
  • 腐食度合いがAランクは異常なし、Bランクは灯箱、アーム、金具等に軽度の腐食がある、Cランクは灯箱、アーム、金具等の腐食が著しい、DとEランクは灯箱、アーム、金具等の腐食が著しく取付部分が損傷している場合となる。
  • 灯箱の外観がAランクは異常なし、Bランクは灯箱にへこみがある、Cランクは灯箱が変形しレンズ面と密着していない、DとEランクは灯箱に穴が開いている、又は取付部分が損傷している場合となる。
  • レンズの外観がAランクは異常なし、Bランクはレンズに小さな亀裂がある、Cランクはレンズに亀裂又は曇りがあり視認性が悪い、DとEランクはレンズに穴が開いている場合となる。
  • なお、EランクはDランクに区分される状態のうち、倒壊、落下事案が発生する危険性が認められ、緊急の措置対応が必要とされる状態をいう。

2 総量最適化に向けた取組方針

老朽化した交通安全施設は安全で円滑な道路交通に支障をもたらす可能性があるため、将来かかると見込まれる維持管理費用も考慮し、総量を削減するために次の取組を行っていく。

交通信号機は、
  • 1機の交通信号制御機で2交差点以上の信号制御が可能なところは、交通信号制御機の削減を進める。
  • 車両用信号灯器のLED化による視認性の向上に伴い、交差点遠方からでも灯色が確認できるようになるため、同一方向へ向けた灯器が複数あれば、LED化に合わせて削減を進める。
  • 道路交通環境の変化等により、必要性の低減した交通信号機の削減に努めることとし、撤去のほか、再利用ができるものは移設を図る。
道路標識は、
  • 道路標識の更新については、都度の見直しを行い、安全性、視認性等も考慮し可能なものは道路標示への変更や1本の柱へ標識板を集約する等の合理化を検討し、柱等の削減を進める。
  • 将来負担の軽減及びLCC(ライフサイクルコスト)の最適化を図るため、可変式及び灯火式道路標識については、反射式道路標識への変更を進める。
道路表示ほかは、
  • 道路標示及びその他の交通安全施設の更新については、道路交通環境の変化等により、必要性の低減したものは撤去も含め検討する。

また、維持管理、更新に伴う取組を通じ、点検委託の結果等を踏まえた計画及び施工、適切な保有数の管理及び仕様の改善、データを活用した工事箇所の選定、というPDCAサイクルを構築し推進していく中で、必要な交通安全施設を選別して更新、撤去等を行っていき、総量最適化の実現に努める。

PDCAサイクルについて、
  • PLAN(計画)では、点検、使用年数、老朽度及び長寿命化を踏まえた工事計画、設計や、新仕様機器等の仕様検討を
  • DO(実行)では、施工(更新、新設、撤去)や、老朽度点検を
  • CHECK(評価)では、ストック数の管理や、老朽度、更新年のデータ集約化を
  • ACT(改善)では、点検委託仕様の改善や、老朽度データを活用した適切な工事箇所の選定を推進していく。

第4 その他の取組

1 長期的視点に立った維持経費の運用方針

1つの交差点において、各種工事を集約することにより、労務費の節約に努め、コストを圧縮した効率的な整備を図る。

また、交通信号灯器のLED化により電気使用量が節減されることから、LED化を推進し、維持経費の縮減を図っていく。

2 人材の育成と体制の確保

業務に必要となる専門的知識、技能がある職員の養成に努め、一定レベルの体制を維持することを目標とし、ベテランの職員から若手へと、技能の伝承、専門的知識の共有を図ることで、次世代への体制づくりを強化していく。
また、定期的に警察署の担当者を招集した会議を開く等、交通安全施設の点検体制の強化等、実情に応じた取組を検討する。

3 情報の収集、即時の体制

交通信号柱の倒壊事案等の特異事案が発生した際には、当該交通安全施設の製造年、メーカー、使用機材等の分析により原因究明を徹底し、以降の事案発生の抑止に努める。
なお、特異事案等の不測の事態に備え、24時間、365日即応できる体制を構築している。