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大阪府警察学校整備等事業に関する事後評価

1 事業概要等

事業の概要

施設名称(事業名称)

大阪府警察学校整備等事業

業務概要

大阪府警察学校(以下「既存施設」という。)は、昭和40年代に建設された建物であり、経年による老朽化及び狭隘が著しく、また耐震性能の面でも不十分な状態にあることから教育訓練施設としての運用に支障を来していた。更に、現地建替えでは、工事期間が長期に及ぶなど学校教養に支障を来たすことが予想され、移転・建替えを行うことになったものである。

本事業は、このような警察学校施設の課題を解決するために、警察学校施設全体をPFI手法により移転・整備し、教育訓練施設としての機能向上や周辺環境との調和を図ることにより、よりよい警察職員の育成環境を確保するものである。

施設概要

所在地

大阪府泉南郡田尻町りんくうポート南1番1

敷地面積

60,010.35平方メートル

用途地域

準工業地域

施設構造

本館・厚生棟

RC+S造/免震構造(地上4階)

講堂

RC+S造(地上2階)

生徒寮

RC(地上5階)

道場・体育館

RC+S造(地上2階)

事業者の業務範囲

施設整備業務、維持管理業務、運営業務

事業期間

平成22年3月29日から令和7年3月31日まで

内訳

整備期間

平成22年3月29日から平成25年2月28日(2年11か月)

解体撤去

平成25年4月1日平成25年10月31日(7か月)

維持管理

平成25年3月1日から令和7年3月31日(12年)

運営機関

平成25年3月16日から令和7年3月31日(12年)

事業手法

PFI事業の手法(BTO)

選定方式

総合評価落札方式

事業主体

大阪府警察学校整備PFI株式会社(以下「SPC」という。)

構成員

代表企業

清水建設株式会社(設計・建設・維持管理(修繕))

構成企業

株式会社東洋食品(運営(食堂・売店等))

協力会社

株式会社三菱地所設計(設計・工事監理)
株式会社シミズ・ビルライフケア関西(維持管理(修繕以外))
株式会社トーカイ(運営(リネンサービス業務))

契約金額

契約時

13,664,197,874円

事後評価時

13,600,989,469円

支払い方法

国費施設整備費

国費施設費及び施設費割賦手数料の支払額の合計が均等(元利均等返済)となるよう、年2回、全24回に分けて支払い(9,111,524,236円)

府費施設整備費等

府費施設の引渡し後及び既存府費施設の解体撤去完了後にそれぞれ一括で支払い(3,114,660,011円)

維持管理費等

年2回、全24回払い(維持管理費 952,686,769円、その他費用 422,118,453円)

VFM

特定事業選定時

約5.5パーセント

事業者選定時

約33.7パーセント

収入の帰属

収入は構成員(清水建設株式会社及び株式会社東洋食品)へ配当

 

モニタリング

整備段階

設計

(改善勧告・減額実績) 該当なし

建設・工事監理

(改善勧告・減額実績) 該当なし

維持管理・運営段階

(改善勧告・減額実績) 該当なし

 

期間満了時対応に関する取り決め

施設等の水準

維持管理・運営

  • 事業者は、事業終了時の1年前に修繕等により更新した保全に関する資料等を国に提出し、施設の保守、修繕等の実施状況、施設の劣化等の状況及び施設の保全のために必要となる資料の整備状況の確認を受けるとともに、事業終了までの修繕計画について必要な協議を行う。
  • 事業者は、要求水準を満たすよう、事業終了時までに、協議の結果を反映した修繕計画書に基づき修繕を行い、国に確認を受ける。
  • 事業者は、本事業終了時、運営業務にかかる経験や記録等を踏まえ、運営業務の実施方法や厨房機器の取扱等を記載した説明書を国に提出し、確認を受ける。

 

2 事業評価

事業実施状況

設置目的、契約履行の達成状況

総括

本施設は、警察職員に対し、新任者に対する教育訓練を行う全寮制の教育訓練施設である。また、警察学校は、豊かで安全な暮らしを支える資産として、周辺環境との調和、地球環境の保全、震災等に対する災害対策、高度情報化への対応、施設の長期有効活用のための対策について、重点的に取り組むべき施設である。そのため、基本方針として、

  1. 機能的かつ快適な学校活動空間の確保
  2. 周辺環境に調和した整備
  3. 環境負荷の低減
  4. ライフサイクルコストの低減
  5. 将来にわたる維持管理・運営への配慮
  6. 耐震性能と防災活動拠点機能の確保

を定めている。

上記の方針に基づき、施設整備では本館と厚生棟を合築するほか全体をL型に配置し、機能性・利便性・快適性・安全性を追求した本館中心の短い動線を実現している。さらに、環境負荷の少ない材料を選定し、維持管理費・修繕費の低減、合理的な設備システム等によるライフサイクルコストの低減を図っている。また、臨海部の特性を踏まえた材料選定や保守更新時期の設定など、施設の長寿命化に配慮した設備としている。本館には、基礎免震構造を採用し主要諸室を集中配置する等、地震の際にも機能を維持できるよう整備した。

契約履行状況

設計

確実に履行されていた。

建設工事監理

確実に履行されていた。

維持管理・運営

確実に履行されていた。

 

施設の維持管理・保全の状況

総括

事業者は、要求水準書・事業提案書等をもとに国と協議の上、毎年「維持管理業務計画書」を作成し、その計画等に従い施設の維持管理・修繕・更新を行い、施設の機能及び性能の要求水準を維持していた。

維持管理計画をもとに運転・監視、点検・保守、修繕・更新等を適切に行うこと及び適宜、国へ結果の報告を行うとともに計画外の修繕・更新が生じた場合についても、早急な対応を行っていた。

事業期間中の維持管理計画については、施設の劣化状況に合わせ見直しを行い、PFIならではの予防保全を行ったことで、大きな機器トラブル等もなく施設運営に支障を及ぼす事象もなかった。

特徴的な問題・課題と対応結果

臨海部の立地のため、海からの強風や潮風による塩害の影響を受けやすい環境である。一部樹木が枯れる等の問題があったが、事業者が植え替えを行う等の対応をした。

引渡し前修繕

事業終了に向けた修繕計画書に基づき、施設の機能及び性能の要求水準を維持させて引き渡しを行うことを目的とした、建物劣化度調査を実施し、施設の現状把握と修繕の要否について調査を行った。また、この調査は客観性を持たせるため、第三者機関に依頼し実施している。また、上記の調査結果を踏まえ国と協議を行い要求水準を満たすように事業終了時までに修繕を行った。

 

事業所の経営状況

経営状況のサマリ

概ね当初の収支計画通りに順調に推移したものと評価している。

特徴的な問題・解決と対応策

事業期間後半は当初の見込みよりも入校者が減少した時期があったが、食堂・売店・自動販売機のラインナップの見直しを図り、事業を継続することができた。

 

事業者による自己評価

施設整備の状況・施設の利用状況

要求水準を満足させるとともに建物用途や建設地環境を考慮し、設計や施工に関する民間事業者の創意工夫を盛り込んだ。

主な工夫点は以下の通り。

  • 近隣に住宅地がある周辺環境を考慮し、グラウンド及び二輪操法訓練コースからの騒音を低減するために建物をL字型に配置した。
  • 建物利用者動線の工夫として、移動動線の短縮化とルートの複数化により迅速な移動を可能とした。
  • 本館厚生棟及び生徒寮に外部吹抜空間(エコボイド)を設け、良好な教育・生活環境を確保した。
  • BCP(事業継続計画)の観点から、地震時の施設利用継続性と安全性を確保するために施設全体の主要機械室を本館厚生棟に集中配置し、同棟を免震構造とした。
  • 環境負荷の少ないあるいは資源循環に配慮した建材の採用、工事中の4R活動の実施等により、循環型社会の実現に寄与した。
  • 臨海部に位置する特性を踏まえ、本館厚生棟・講堂・生徒寮の外壁を塩害に強いタイル貼りとした。

施設の維持管理・保全の状況

維持管理業務・修繕業務開始前に事業期間全体の基本計画書を策定、並びに各事業年度開始前に年度実施計画書を策定し、要求水準及び事業者提案事項の未達を防ぐとともに、学校の教育・訓練、生徒の生活に支障を生じないよう適切に業務を実施した。

原則、平日日中は維持管理業務担当者が常駐対応し、夜間休日には連絡体制を整備し可能な限り即応性を確保した。

事業終了年度の2年度前(令和4年度)に、事業構成企業以外の第三者専門機関による建物劣化度点検を実施し、国と協議した上で事業終了までに必要な修繕業務を実施した。

修繕業務について、発生した事象に対する国側との見解の相違により協議が長期間に及ぶことがあったため、要求水準では修繕基準をより具体的に設定する必要があると考える。

その他の効果

事業者にて維持管理及び修繕業務について、日々の点検保守・修繕・定期清掃・植栽管理の実施によりほぼ良好な状態を保つことができた。食堂・売店運営、リネン運営業務について、利用者の嗜好や要望に応じて提供サービスに工夫をし満足度の向上に寄与した。特に毎月実施したイベント食の提供、生徒の帰省タイミングに合わせたお土産品の充実、清潔な寝具類の提供は利用者に好評であった。

事業者の経営状況

  • SPCとして計画外の支出はほとんどなく、概ね当初の収支計画通りに推移した。
  • 維持管理、修繕業務企業について、当初計画より若干変動があったものの概ね当初の収支計画通りに推移した。
  • 事業期間後半は当初の見込みよりも入校者が減少した時期があったため、食堂・売店・自動販売機のラインナップの見直しを図った。

 

事業効果や課題・改善点

契約条件の変更点

原因及び対応策/変更内容

  1. 施設費割賦手数料の基準金利改定により、契約変更(減額)を行った。
  2. 既存施設の追加解体撤去工事(鉛汚染土の除去や撤去工事)発生により契約変更(増額)を行った。
  3. 消費税率の引き上げ(5パーセントから8パーセント、8パーセントから10パーセント)により、契約変更(増額)を行った。
  4. 建築基準法改正に伴い、新たに法定点検の項目(防火設備点検)が増えたため契約変更(増額)を行った。
  5. 物価変動(建築物価指数月報及び企業向けサービス価格指標が3ポイント以上上昇した場合)により、契約変更(増額)を行った。

 

設計から運営までの一括契約効果

設計・建設における効果

  • 工事発注手続き・審査手続きの省力化
  • 建設時の詳細な仮設計画等を設計時に実施可能
  • 特許工法(地盤改良等)の採用可能による、施工の合理化が可能

維持管理・運営における効果

  • 施工や維持管理の側面に配慮した総合的に質の高い材料や設備等を導入でき、ハードの特性に応じて最適な保守等維持管理が行われることから、長期にわたり良好な施設の品質及び性能が確保されるとともに、修繕費や高熱水費等の低減が可能となった。
  • 事業者の裁量や技術的能力が十分に発揮される余地が生まれることで、施設利用者に対する利便性、快適性等がより向上する様々なアイデア等の提案が期待できるとともに、学生及び教職員の健康管理に配慮した食堂メニューや利便性に資する売店運営など、民間ノウハウの活用により最適なサービスの提供が可能となった。

管理者の事務負担軽減における効果

  • サービス提供の窓口が一元化されることにより、運用時の問題に対する早期対応等が可能となった。

 

リスク分担の適切性

経費の変動リスクの分担について

最低賃金の急激な上昇等により、SPCとしては影響を受けていないものの、運営を担う企業へ負担がかかった。

施設整備・維持管理・修繕業務

物価改定制度がほぼ機能していた。

食堂運営業務

経済情勢の変化により、著しい食材費高騰がみられ、一時的に提供サービスの維持が困難な状態となったが、府警と事業者との協議により柔軟に物価改定を実施した。

リネン業務

洗浄洗濯は原油価格に影響を受けるが、物価改定の確認指数が「寝具類(布団を製造・売却する場合の指数)」となっており、原油価格を反映した指標とは言えない点があった。

修繕リスクの分担について

修繕対象となる事象は発生した後に発見されることが多く、発生原因については国側の責か事業者側の責か明確にならないケースがある。

要求水準等において、適切な判断基準を設けることが難しいと考える。

法令変更リスクの分担について

特に大きな問題はなかった。

不可抗力について

維持管理期間中に台風被害による修繕業務が発生したが、事業契約の規定に則り、「維持管理費」の1パーセント相当額に至るまでは事業者が負担し、1パーセントを超える額は国が負担したことで、適切に対応できた。

 

要求水準の適切性

要求水準の見直しの協議を行った項目と対応結果

食堂運営事業については、経済情勢の変化により、著しい食材費高騰がみられ、一時的に提供サービスの維持が困難な状態となったが、府警と事業者との協議により柔軟に物価改定を実施した。

要求水準の見直しが必要と想定される項目(実態との乖離や社会環境の変化等)

  • 人件費に関する項目(昨今の人材不足・人件費高騰の状況を鑑み、実質賃金指数を指標とする。)
  • リネン業務に関する項目(原油価格を反映した指標に変更する。)

 

事業者による自己評価

設計から運営までの一括契約効果

設計段階から建設担当企業・維持管理担当企業・運営担当企業が関わることにより、警察職員の育成環境を提供する場としてふさわしい施設を整備するための創意工夫を盛り込むことができた。免震構造の採用や環境負荷の少ない建設資材の採用、短時間に多くの食事を提供するための配置計画などそれぞれの企業が保有するノウハウを導入し、警察学校という特殊な用途の施設を整備することができた。

維持管理・運営段階においては、維持管理保全計画を策定し日常及び定期点検を確実に実施し、不具合発生時には速やかに対応することで建物利用者への影響を低減した。

食堂・売店・自販機業務及びリネン業務は独立採算事業であったが、企業努力によって利用者のニーズに可能な限り対応し、概ね満足のいくサービスを提供することができた。

リスク分担の適切性

物価変動リスクについて、使用する指標の反映にタイムラグが発生していた。サービス提供を伴うPFI事業については実質賃金指標の導入が必要と考える。

要求水準の適切性

要求水準書は、可能な限り明確な表現にする方が疑義がない。

 

3 事業手法等の妥当性検証

事業手法等の妥当性検証

財税負担の軽減

特定事業選定時には、VFMが約5.5パーセントと試算され、事業選定時には、VFMが約33.7パーセントとの試算結果となっていた。

事業期間中に増減額はあったものの、当初の条件から重大な変更はなかったものと考えている。

創意工夫の発揮によりサービス水準の向上

食堂運営において、季節食のイベントや食べ放題メニューを企画するなどしており、サービスの向上に努めていた。

管理者職員の事務負担の軽減

施設修繕の面で、管理者職員側での予算要求から修繕までのプロセスを経る必要がなく、事務負担の軽減があった。また、施設維持管理においては、専門的な目で日常点検を実施し、故障に至る前に修繕や補修等の対処を即座に対応ができ、事務負担軽減はもとより機器の長寿命化にも貢献できた。

さらに、設備機器について、実際に使用しながら、その運用を見極めて設定等していく必要があるところ、管理者側の提案を受けより良い運用手法を採用した上で設定してもらえた点は、技術的なノウハウを持ち合わせていない管理者職員にとって負担が大きく軽減され、その他の学校運営業務に注力することができた。

上記の総括

PFI手法導入の適否

適

 

4 次期事業について

次期事業について

事業手法

PFI手法については、公共施設の設計から整備・運営までを一体的かつ効率的に行うことを目的としており、次期事業においては、既存の施設を用いた維持管理・運営事業が主目的であることから、PFI手法の採用は適さない。

今期PFI事業の実績を踏まえ、維持管理業務については、事業終了後も引き続き民間事業者を活用しながら行えるよう、専門業者へのビルメンテナンスの維持管理契約を行い、食堂・売店の運営については、国有財産使用許可を行っている。

 

この記事に関するお問い合わせ先

大阪府警察本部総務部施設課計画第二係
電話番号 06-6943-1234(代表)
平日午前9時00分から午後5時45分(土曜日、日曜日、祝日及び年末年始を除く。)