交番等の最適化計画(令和3年11月)
交番等の最適化計画(令和3年11月) (PDFファイル: 189.1KB)
交番等の最適化計画
令和3年11月
大阪府警察本部
1 交番等の最適化
当府警では、地域の安全安心のための強じんな地域警察の構築に向け、現場執行力の強化をはじめ、施設・装備の充実、交番・駐在所(以下「交番等」といいます。)のセキュリティの強化、受傷事故防止対策の徹底、業務の重点化・効率化等を推進しているところです。
交番等は、警察官がパトロール、事件・事故等に対する初動措置、巡回連絡等を行う拠点であり、地域住民の安全と安心のよりどころであることから、そのセキュリティを強化し、機能を充実させていくことが、極めて重要です。
交番等の数や配置についても、警察機能が最大限に発揮できる環境を目指し、社会環境や治安情勢の変化を踏まえた検討を重ね、交番等を計画的に建て替える一方で、必要と認められる場合は、統合、移転及び新設を進めていく必要があります。
今後、こうした取組を「交番等の最適化」と称し、長期的な課題として取り組んでいきます。
2 交番等の現状
交番等の設置については、地域警察運営規則(昭和44年国家公安委員会規則第5号)に基づいて、府下の各地域における地域環境や治安情勢を把握した上、犯罪や交通事故等の発生状況、人口、世帯数のほか、地域の面積、隣接する交番等との距離などを総合的に検討し、その必要性について判断しています。
交番等の施設数は、昭和43年当時、950か所あったものが、二交替勤務から三交替制勤務への変更に伴って、昭和49年までに603か所まで大きく削減されました。
その後は、大規模な開発、人口増加、犯罪や事故発生件数の増加等の環境の変化に対応するため、交番の新設や駐在所の交番化等を行い、現在、府下にある交番及び駐在所の数は、合計646か所となっています。
しかし、近年は交番等の数に大きな変化がなく、建替え件数が減少し、移転の機会も少なくなっていることから、定員及び人員配置の見直し等で環境の変化への対応を図っています。
3 「交番等の最適化」の推進に至る背景
(1) 単独配置
平成30年に富山、宮城の両県で発生した警察官襲撃事件に続き、令和元年6月16日、吹田警察署千里山交番で警察官が襲撃され、拳銃を奪取される事件が発生しました。
警察官に対する襲撃、拳銃の奪取事件は、住民を危険に晒し、大きな不安を与えます。
これらの事件以降、警察官への襲撃を抑止するとともに、警察官自身の安全を確保し、拳銃の奪取を防ぐため、安全対策に資する設備及び装備品の整備促進、訓練の充実、危機意識の醸成等の取組を進めています。しかし、警察官に対する襲撃事件は跡を絶たず、大阪では、今年3月に、交番において、少年が警察官を刃物で襲撃して拳銃を奪おうとした事件が再び発生したほか、全国的にも同様の事件が相次いでいます。
いずれも、拳銃を奪われるには至りませんでしたが、危険は常に存在していることは否定できません。
これまで全国で発生した拳銃奪取事件は、全て警察官が単独で活動中の事案でした。
複数の警察官が対応していた事案については、一時的に拳銃を奪われることがあっても、直ちに被疑者を制圧して拳銃を奪い返しており、拳銃を所持したまま逃走された事例がみられないことから、拳銃奪取の防止には、警察官が常に複数で対応することが有効と考えられます。
しかし、地域警察官の数には限りがある一方、全ての交番等に分散して警察官を配置せざるを得ず、単独で勤務せざるを得ない交番等が生じています。
(2) 施設の老朽化及び狭隘化
交番等の構造は、鉄筋コンクリート造、コンクリートブロック造、鉄骨造、軽量鉄骨造、木造等様々ですが、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)に規定された耐用年数を基準とすると、耐用年数を超過している施設は646か所中174か所(約26.9パーセント)に達し、建築後50年以上経過している交番等は、646か所中148か所(約22.9パーセント)になります。
その上、昭和40年代に建てられた交番等が多いため、今後、耐用年数を迎える施設は、毎年10か所以上増加しますが、交番等の建替えが、年間3から4か所にとどまっていることから、老朽化の状況は悪化する一方です。
さらに、昭和56年の建築基準法改正以前の旧耐震基準で建築された施設が278か所(約43.0パーセント)あり、防災活動の拠点としての耐震性にも懸念があります。
こうした古い交番等の多くは、狭隘である上、電気設備も十分ではなく、建設時には想定されていなかった防犯カメラ、交番用端末の設置等、機能強化を進める上でも支障が生じています。
(3) 交番等の間の業務格差
交番等の統合、移転及び新設には多くの業務量や多額の費用を要することから、社会環境や治安情勢の変化に即して、遅滞なく対応することは困難であり、結果的には、受持ち世帯数や人口、事件事故の発生状況等について、交番等の間に格差が生じています。
例えば、所管区の人口が、5万人近くになる交番がある一方で、千人以下になっている交番があります。
また、交番等の間の距離が500メートルに満たない所が数十か所あり、その中には約130メートルしか離れていない場合もあります。
交番等の間の距離が近接している場合、狭い地域に複数の交番等が所在することになり、非効率と言わざるを得ません。
(4) 安全対策等に要する費用
警察官に対する襲撃、拳銃の奪取事件を防止するため、交番等に防犯カメラ、センサーライト、センサーチャイム、緊急通報装置、遮蔽板等を整備して、セキュリティを強化する取組を進めていますが、施設の数の多さが課題となっています。
安全対策の設備、資器材等を646か所ある全ての交番等に整備していくためには、莫大な費用と時間を要します。
(5) 社会環境の変化
当府警では、人口や犯罪の増加、郊外の都市開発等、様々な社会環境と治安情勢の変化に対応するため、新設や移転等も行いつつ、交番等の最適な配置に努めてきました。
しかし、スマートフォンの普及等による通信環境の発達、モータリゼーションの進展に伴う交通手段の充実等、社会の利便性が増す現在、府民による交番等の利用状況も大きく変容しています。
とりわけ、「取り扱い事案が著しく少ない。」「所管区の人口が他の交番等に比し著しく少ない。」「隣接する交番等との距離が近い。」など、非効率と考えられる交番等の統合を検討することは、避けて通ることができません。
4 「交番等の最適化」の目的
(1) 複数勤務体制の確立
全ての交番等に分散して警察官を配置し、単独で勤務する交番等が生じている現状は、警察官に対する襲撃、拳銃奪取等を防止する上で、大きなリスクがあります。
また、大きな事件が発生した場合、多数の警察官を一挙に投入する必要がありますが、分散した配置が足かせになることもあります。
こうした状況を解消するために、勤務員の総数は減らすことなく、核となる交番等に人員と機能を集約して、複数勤務体制を確立することで、より柔軟な事案対応が可能となり、実質的な対処能力を向上させることができます。
(2) 施設の安定的維持
「施設の長寿命化」と「総量最適化・有効活用」を柱とする「大阪府ファシリティマネジメント基本方針」に基づく整備計画を進める必要がありますが、交番等の建替えが、年間わずか3から4件の規模にとどまっており、老朽化が進んだ結果、外壁が一部崩落したり、雨漏りするなどの問題も発生しています。
放置すれば外壁の崩落による人身被害の虞がある上、勤務員の勤務環境も悪化しています。
こうした状況を短期間に改善することは困難ですが、最適化を通じて老朽化した施設の数を削減しつつ、建替えを加速させることで、住民の方々が安心して利用できる施設として、安定的に維持管理していくことに繋がります。
(3) 交番等の間の業務格差改善
所管区の世帯・人口が少ない地域に所在する施設、事件事故の発生等が少ない地域に所在する施設、隣接する交番等が近接している地域に所在する施設は統合を検討し、世帯・人口が増え、事件事故の発生が増加している地域は、周囲の交番等の移転や所管区の見直しを検討するなどして、格差の是正や非効率の改善を図り、必要な所に必要な警察力を、より効率的に投入する体制を構築します。
(4) 交番等の機能の充実強化
セキュリティの強化に限らず、交番等の機能強化を図る場合、施設数が多いことが、迅速な強化の支障となっています。
例えば、交番等で取り扱う遺失拾得届や相談、最新の事件情報等をリアルタイムで共有するシステムの導入を進めていますが、この前提となるネットワークの整備事業の促進に、施設数が多く、整備費用が膨らむことが大きな課題となっています。
ネットワークを構築することで、住民の方々の利便性を向上させるだけでなく、事務効率が向上し、警察官の街頭活動を増加させることが可能になります。
交番等の数を削減、集約し、全体的なコストダウンが実現すれば、交番等のセキュリティ強化、ネットワークの構築等、機能強化を促進することができ、住民の方々の利便性の向上や警察力の向上といった効果が期待できます。
5 最適化の進め方
(1) 期間
計画の期間は、令和4年度から10年間とし、取組の状況を検証しつつ必要に応じて見直すものとします。
(2) 計画施設数
それぞれの交番等の所管区の治安情勢、地域環境等を踏まえ、必要な施設には集中的に警察官を配置しつつ、警察官を複数配置できない施設を可能な限り削減するため、交番と駐在所の施設を、600か所以下に抑制することを目標とします。
(3) 最適化の対象とする交番等の目安
最適化にあたって、統合及び新設等の対象とする交番等については、おおむね、次の点を目安として検討します。
ア 統合
- 所管区の世帯数及び人口が少ない地域に所在する施設
- 事件事故の発生等、業務負担が少ない地域に所在する施設
- 隣接する交番等が近接している地域に所在する施設
- 老朽化、狭隘化している施設
- 交番等の最適化に住民の理解が得られる地域に所在する施設
イ 新設
- 開発等により、世帯・人口が増加した地域
- 犯罪、事故の発生等、業務負担が増加している地域
- 自治体、住民等から土地や建物の無償提供等、各方面の協力が得られる地域
(4) 最適化に伴う措置
ア 交番等の勤務員の数は、最適化を理由として削減することなく、地域警察活動の一層の強化に努めます。
イ 廃止する交番等は、当面の間、警ら連絡所として運用することも可能とします。
ウ 交番等を廃止した地域については、パトロールや本部支援を強化するなど、住民の不安解消に努め、移動交番等の配備・運用等の補完制度についても検討します。
エ 交番等を廃止した場合、犯罪発生状況の変化等、住民が不安に感じている事項について積極的に情報を提供し、不安解消に努めます。
オ 犯罪発生状況や、事件・事故への対応状況の変化等、最適化の影響について検証し、計画の見直しに反映させます。
(5) 今後の方向性
最適化に向けた交番の統合、移転及び新設にあたっては、警察署と警察本部とが協議を行って具体的計画を策定し、地域住民の方々に対して、事前に十分な説明を行い、理解を得るよう努めるものとします。
















